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白髪の旅ガラス

ブロック塀の上を歩く狸

 隣家との境には、当家が所有する五段積みブロック塀があります。その幅は12センチメートルですから、上に登って植木の剪定をする際には、落下の心配をしなければなりません。

 それは森を出て運動神経の鈍くなった裸の猿のこと、家猫や野良猫はブロック塀の上を悠然と歩いて行きます。幾らか高い所を歩いた方が、何かを見付け易く、何物かに襲われる恐れも少ないことからでしょう。

その高さは、家の中から窓ガラスを開けると同じ位置にありますから、野良猫の歩く瞬間を家猫が座って飽きずに待っています。たまたま今宵、自分も同じ気持で窓を開けてみれば、塀の上には丸々と太り、目の周りが黒く、尾の太い狸が歩いていました。

 近くにアライグマが棲みついた家の話を聞いていましたから、そうかとも思いましたが、尾にはアライグマ特有の縞模様がありません。それにしても、悠然と歩く姿は健康そうであり、地位の高い狸であったような気がします。


空き家増え 棲みつく狸 月見かな

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by tabigarasu-iso | 2019-09-20 11:00 | 随筆 | Comments(0)

輝いて生きる

 法事で見掛けた方は、確か何処かで会ったことがあるような、そんな気がしても読経中は声を掛けることは出来ません。焼香が終われば自由に話せるかと言えば、またそれも叶わない。

仕方なく、遠くから誰であったか記憶の中から引き出してみれば、やんちゃ坊主の面影が残っているところから、幾つか年下の方だと想い出します。

頭は白く、口元に入歯が目立ち、頬に皺も寄っている方は、65歳を過ぎても、日に焼けた顔は健康そのもの。畑に出て、名産のキャベツでも育てていることでしょう。

確か、農協か役場に勤めていた方で定年を迎えている筈です。が、耕せる田畑を持つ家の人ですから、明るいうちは野に出て額に汗していることでしょう。

田畑を持たない方は、何か商売を始めるか、何処かに再就職するか、何もしないで過ごすか、家の中で趣味に興じるか、何れにしても輝いて生きたいものです。


清め酒 トンボにそっと 飲まそうか

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by tabigarasu-iso | 2019-09-19 09:19 | 随筆 | Comments(0)

法師蝉

 猛暑の日々も過ぎ、凌ぎやすくなった朝方のこと、庭の主となった枇杷の木の方から、鳴りを潜めていた蝉の声が聞こえます。

「ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、ツクツクホーシ」

声の主は何処に居るのか、裸眼で探してみましたが見えません。それでも懸命に焦点を絞ってみれば、翅の透明な蝉が木肌に貼りついているのが見えました。

『まだまだ、裸眼も捨てたものじゃない』

 少しばかり自信を持たせて貰ったところで、ズームの付いたカメラを取りに行き、拡大してみれば裸眼の比ではありません。

『やはり、餅は餅屋だ』

 何かを悟ったように鳴く蝉の透き通った翅の美しいこと、感動の余り手振れのないよう無の境地でシャッターボタンを押します。

『もう秋ですよ』

 つくつく法師に教えて貰いました。


読経を 聞かせてくれる 法師蝉

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by tabigarasu-iso | 2019-09-18 13:00 | 随筆 | Comments(0)

カマキリの御礼

 カマキリが食べる物を調べてみれば、バッタ、イナゴ、蝶、セミ、ハチ、ガ、コオロギ、ハエ、アブ、カマキリ、トカゲ、トンボ、カエル、ゴキブリと多岐に亘ります。

 仲間のカマキリも餌の対象になっていますから、うっかり雄が大きな雌に気を弛めて近付こうものなら、瞬く間に肉団子となることでしょう。それにしても、草が刈れるほど大きな鎌を持ったカマキリの登場には、菜園管理者は手を合わせて感謝する筈です。

その鎌は、伸びた芝生を刈ってくれるつもりでしょうか。レンガの傍に生えた芝生の手入れは難しく、伸びるままにして置いた菜園管理者としては、大きなカマキリの登場に期待しているようです。

カマキリが蝶やハチを食べられるのも、菜園管理者がキュウリや茄子を育てた所為ですから、その御礼をカマキリにさせるつもりに違いありません。が、何しろ芝生は伸び過ぎてカマキリの身体が沈み、その鎌で刈るのは難しいようでした。


カマキリに 生まれてなくて 良かったな

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by tabigarasu-iso | 2019-09-17 16:30 | 随筆 | Comments(0)

スイカは使えません

 切符の購入が不要なスイカは、関東から九州まで利用できる便利な交通系キャッシュレスですが、それを使えない路線が関東地区には未だあります。

例えば、高崎線から吾妻線に乗り換え、渋川駅から大前駅まではスイカが使えません。そのことを告げる車内アナウンスの後、車掌が乗り越し精算に回り、それが人の温かみを感じさせてくれます。

「どちらまで」

「長野原駅まで」

「どちらまで」

「原町駅まで」

「駅前でお祭りを開催しています」

 キャッシュレスカードは便利ですが、こうした人との触れ合いを奪ってしまいました。大きな爪痕を残した台風が去り、それでも昔と同じ光景を見せてくれる車窓に安堵しながら法事で田舎に帰る翁に、スイカが使えないアナウンスは心地良く響きます。


落葉松の 林に響く 蝉の声

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by tabigarasu-iso | 2019-09-16 10:00 | 随筆 | Comments(0)

 携帯電話は、歩きながら話せる便利なものです。ただ、TPOを考えて話して貰わなければなりません。例えば、空港の待合室で飛行機の出発を待つ間の作業中に、大きな声で話しながら歩くのは止めて欲しいものです。

本人は、顔の見えない電話相手を満足させようと懸命ですが、その話し方では満足するどころか不安になるだけですと教えて上げたい。聞きたくもない他人事であっても、旨い事を言うと誉めるようでなくては失格です。

それに誰も話の内容は分からないだろうと、仕事内容に関する具体的な話も聞きたくありません。日本語であれば、意外と理解できるものです。それが審査に関するものであれば尚更のこと。

少し前のことですが、タクシーを待つ三人の背広姿の老人、揃って大きな鞄を抱え、TPOを考えない審査の話は筒抜けでした。携帯電話で歩きながらではないにしても、他人の世界に入り込む会話の失礼は同じことですね。


猛暑日よ エアコン効いた 場所探し

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by tabigarasu-iso | 2019-09-13 11:59 | 随筆 | Comments(0)

博多

 博多と言えば、博多どんたく、博多ラーメンを思い浮かべる方が多いでしょう。初めて博多を訪れ、前者は5月で既に終わっていますから、後者を楽しむことにしました。

 白濁した豚骨スープに細い麺を硬めに茹で、餃子も付けて貰います。中華ソバを見慣れた者には、白濁したスープに迷うものがありましたが、口にするとサッパリしていながら味に深みがあり、細い麺も良く合う。

博多ラーメンを一気に啜り終え、刻み葱のスープも飲みながら、小さな包みの餃子を頬張る。汗が噴き出たところで、冷たい水を流し込むと、餃子の旨味が蘇ります。

ただ、餃子用に用意されたタレは甘過ぎました。傍に置いてあったラー油に気付いたのは、食べ終えてからのこと。次の機会には、もう一度暖簾を潜ってみたいと思います。


ラーメンに 赤い生姜が 似合います

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by tabigarasu-iso | 2019-09-12 00:36 | 随筆 | Comments(0)

鳥栖

「今度、九州のトリスに行きます」

「それを言うなら、トスでしょう」

 一年前に訪れた先輩に訂正され、「鳥栖」は「トス」と読むことを学びました。

台風に進路を邪魔された電車と飛行機が大幅に遅れながら、小さな駅舎の鳥栖駅に着いたのは夕方五時のこと。駅前には大きなホテルが数件あり、我が住む街より宿泊するには便利な所です。

さて、一人の夕飯は何処にしましょうか。ホテルを出て散歩しながら見付けたのは、地元で見掛けながら殆ど利用しない回転寿司。案内されて座ったものの、注文の仕方が良く分かりません。

そこで、隣の方がどう注文するのか横目で学びます。早速、小さなディスプレイを見て注文したものの、なかなか届きません。我慢出来ず、回って来た皿の寿司を手に取り口にしたところ、上のラインで届いたのは自分が頼んだ品でした。


何処行くの 鳥栖だが分かる 蝉に訊き

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by tabigarasu-iso | 2019-09-11 06:48 | 随筆 | Comments(0)

台風の影響

 この度の台風、場所によっては電柱を何本も薙ぎ倒し、鉄塔すら横倒しにする強烈なものでしたが、当地ではそれほどの被害はなく、ほっとしているところです。

 それでも、径が五センチ程になった桃の実を落とし、背の高い植木を横に抑え込み、小さな子が抱えて楽しんでいた「ほうき草」を根元から引き抜き、何処かに飛ばしてしまいました。

 その「ほうき草」は、自ら植えたものではなく、何処からか飛んで来た種が根を張り大きく育ったものです。朝から晩まで太陽を浴びて、見事な丸い「ほうき草」になりましたが。

「ほうき草がないぞ」

「あら、ゴミを出すついでに探して来て」

「・・・」

 廃棄物置場まで丹念に見回しましたが、「ほうき草」は見付からない。帰路、すぐ隣に置いた自動車の陰に「ほうき草」は隠れています。その姿、私で箒を作ってください、そう言っているようでした。


交通の 足を乱して 嵐去る

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by tabigarasu-iso | 2019-09-10 06:50 | 随筆 | Comments(0)

台風の上陸

 今夜から明日の早朝に掛けて、猛烈な風雨を伴う台風が関東・静岡に上陸すると言う。不要不急の外出を控えてくださいと言うから、並の台風ではないらしい。

 珍しく雨戸を閉めてみれば、雨戸の内側に溜まった長年の埃に呆れてしまう。序に掃除をしようかと思ったが、埃も厚く溜まっていれば防音効果があるだろうと思い直して止めにした。

 既に、早朝の電車の運休が決まっている。何事も引き起こさず通り過ぎてくれたら良いのだが、溢れる水や強風で木造の家屋に被害を与える乱暴なオオカミ台風だけにはなって欲しくない。

 人騒がせな台風が通り過ぎるのを待ち、出掛けなければならない人が大勢居る。自分もその一人だが、八時過ぎには電車が正常に動くこと、雷神や風神に願って寝よう。


垂れる穂を 薙ぎ倒すなよ 風神さん

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by tabigarasu-iso | 2019-09-09 08:58 | 随筆 | Comments(0)