人気ブログランキング |

ブログトップ

白髪の旅ガラス

<   2018年 08月 ( 30 )   > この月の画像一覧

登り窯のある食堂

 夕方の六時には店が仕舞う健康的な町で外食する爺様二人は、急いでウナギの匂いのする店に飛び込んだものの、品切れで落胆するばかりです。それでも気を取り直して、もう一軒の食堂の営業中であることを信じて急ぎました。


 信号が青になるのを待ち、急いだ先の店は営業中です。慌てて入った店内には、驚いたことに実物大の登り窯がありました。取り敢えず食事を頼み、店員に許可を得てから、登り窯を写真に納めます。


 積まれた薪と陶器は本物ですが、登り窯は裏が客席の偽物ながら、材質は本物ですから失望しません。

「良い写真が撮れました」

「良かったですね」


 子供のように喜ぶ爺様二人を見た若い店員は、食事を運びながら笑顔です。何を思ったのかは分かりませんが、笑顔の感染は悪くありません。登り窯のお陰で食事は美味しく、爺様二人の昔話も楽しいものになりました。


コオロギの 声に背中の 汗は退き

d0052263_15050264.jpg



by tabigarasu-iso | 2018-08-31 15:03 | 随筆 | Comments(0)

牛久の大仏

 昔から東洋一の大仏とは聞いていましたが、これまで一度も立ち寄ることの無かった牛久の大仏、環境ISO審査を終えた帰路に見せて戴く機会がありました。


「牛久の大仏、近くにあるようですね」

「ええ、直ぐ近くにありますから、帰路に見て貰います」

 審査前の世間話で、牛久の大仏を見せて下さる話となり、審査員としては嬉しい限りです。


 そんな気持ちとは関係なく、審査は粛々と進み、大仏を見せて下さる方にも遠慮はしません。

「ところで、法律を守る仕組みが機能しているか否か、評価している記録を見せて貰えますか」

「これですが」

「この記録、誰が評価したのか分かりませんね」

「はあ、本社からの指示で作成したもので」


 その日の審査を終え、確認事項を伝えました。

「このサイトは、業務目標と環境目標とが連動し、とても良い仕組みです。順守評価の件は、本社の問題ですから、そちらで確認しましょう。◯◯さんの所為ではありませんから、御安心ください」

 駅までの帰路、車で送ってくださった◯◯さんは、大仏の傍を通るだけでなく、その前に車を停めてくれます。


「ありがたいことです」

 ○○さんに手を合わせから、牛久の大仏を見上げれば、スケールの大きさに驚きました。

「地球生命体が平和でありますように」

 白髪の翁は、そう言いながら大仏に頭を下げたのです。


昼食に 出されたカレー ああ美味い

d0052263_16282916.jpg


by tabigarasu-iso | 2018-08-30 07:30 | 随筆 | Comments(0)

内部監査の鑑

 これは、むかし昔の話です。ある組織のある場所で、環境ISOの内部監査の立会いを依頼された時のことでした。


そもそも、環境ISOでは外部の審査員が行う審査と内部の監査員が行う内部監査と言うものがありまして、どちらも基準と実態のギャップを検証するもの。


両者の違いと言えば、事情を知らない外部の人が行う審査と事情を詳しく知ることが可能な内部の人が行う監査の違いでしょうか。ここで、後者に事情を詳しく知ることが可能としたのは、可能であっても事情を詳しく調べない監査員が多いからです。


ところが、むかし昔に立ち会った組織の内部監査では、基準と実態のギャップを事細かに調査した上で、監査を受ける側が知らない情報まで提示し、不適合の判定を行うものですから、認めない訳には行きません。


それが1件ならともかく、両手の指の数では足りず、足の指まで借りる件数でしたから、指摘された側の顔色は青くなりました。数は多いものの、その原因は現場、現物、現実的な状況確認の欠落です。それが再発しない是正処置は、立会い者の立場からすれば難しくはありません。


しかしながら、渦中の人には是正処置が想像出来ていないようでした。渦から離れたところで、立会いの自分は是正策を考えていたものの、未だ紹介する機会を得られないままです。


近頃の内部監査の結果は、不適合なし、観察事項なし、改善の機会が数件もあれば良い方ですから、あの時の内部監査は、監査の鑑と言えるでしょう。


土砂降りに 悲鳴を上げる 靴の底



by tabigarasu-iso | 2018-08-29 06:57 | ISOマネジメント | Comments(0)

 このところ、門扉の周辺に数ミリの黒い粒が目立つようになりました。毎日増え続けていますから、誰かが落としている物に違いありません。


 黒い粒の真上には桃木の葉が生い茂り、大きな実をつけています。どうやら、黒い粒を落としているのは、桃の葉を餌にしている幼虫に違いありません。


 散歩の先を急ぐ虎猫に正座させたまま、桃の葉の先を一本づつ良く探してみました。すると、葉と同じ色をした幼虫が、葉の真似をして枝先に静止しているではありませんか。


 アゲハ蝶の幼虫でしたから、このまま糞を落とし続け、蛹になって冬を越せば、春には綺麗な舞いを見せてくれることでしょう。そう思い、桃の葉は沢山ありますから、このまま見逃すことにしました。


ところが、アゲハ蝶の幼虫のすぐ下には、草色のカマキリが大きな鎌を振り上げています。狙いは真上の太った幼虫のようですが、果たして、その後はどうなりましたか。


夕立に 歩道は川と なりにけり 


by tabigarasu-iso | 2018-08-28 13:28 | 随筆 | Comments(0)

手段を目的に

「審査員、あなたに訊ねます。目的を実現するのが手段ですが、その手段を目的にしてはいけないのでしょうか」

「いいえ」


「手段を目的にすることは、誰も禁止していません。目的を達成するための手段や方策を系統的に展開していく『系統図法』として、立派に認知されていますから」

「そうでしたか」


「そうは言っても、最終的に実現したい目的が手段のままであってはなりません。懸命に働いて、そのまま終わる人生も悪くはありませんが、御自分の夢を実現したいでしょ」

「そうですよね」


「最終目的は何でしょう」

「家族を幸せにすることです」

「その通りです。ところで、本日の目的は」

「失礼しました。審査中であること、すっかり忘れていました」


拗ねる猫 散歩に誘い 機嫌取り 


by tabigarasu-iso | 2018-08-26 07:54 | ISOマネジメント | Comments(0)

三匹目のヤモリ

 どうやら、今宵のヤモリは新たな個体のようです。最初に現れたヤモリと同じ身体ながら、尻尾は切れていません。二番目に現れたヤモリに比べ、二回り身体が大きく、三匹目のヤモリになります。


 三匹目のヤモリは、一匹目のヤモリと比べて尾の付け根に膨らみがなく、雌のようですから、一匹目のヤモリが餌場を提供したのでしょう。それを知らない二匹目のヤモリは餌場に登場したものの、三匹目のヤモリに押し出されたようです。


 夏も過ぎ秋を迎える時期ですから、ヤモリも子孫を遺さなくてはなりません。二番目に現れた小さなヤモリも急いで成長すれば、子孫を遺す婚活には間に合うことでしょう。


 それにしても、ガラス窓には沢山の虫が飛来しますから、ヤモリ三匹が食べても十分な筈です。押し退け合うことなく、ガラス窓の四隅を隠れ家にすれば、もう一匹加わっても餌には困らないと思いますが。


窓の下 草むらの虫 秋を詠む

d0052263_17455883.jpg


 


by tabigarasu-iso | 2018-08-25 08:30 | 随筆 | Comments(0)

もったいない時間稼ぎ

 外部審査では、重たい指摘を受けるのは厭なものです。その対応策として、運用が妥当な箇所の説明は長く丁寧に行い、そうでない箇所の説明は出来るだけ短くしたいもの。


 それを承知の審査員は、相手の長い説明を途中で打ち切らなければなりません。

「この話の続きは、後ほど伺います。さて、次の質問は」

 こうして約束するものの、後ほど確認する審査員は誰も居ないようです。


同じく、内部監査において長い説明を意図的に行うのは感心しません。求められた説明以外のことを長々と説明する仲間に呆れながら、監査員になったばかりの方は何ともしようがない。


 時間稼ぎが明らかになったところで、立会いのコンサルは自部署に関係する内容に絞り説明を願いますとコメントします。更に、話の続きは後で伺うことにしましょうと監査員に教えてあげました。


 内部監査は、同じ組織の仲間が仕組みを良くする為に行うものですから、それを邪魔する時間稼ぎは御法度です。


外部審査にしても同じこと、内部の人間では気付かない点を発見して貰う機会ですから、得意な点は短く、課題を抱えている点こそ十分に説明した上で、解決の糸口を探して貰いましょう。


ガラス窓 新たなヤモリ 舞い踊る

d0052263_10364106.jpg



by tabigarasu-iso | 2018-08-24 10:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

諦めたヤモリの登場

 尾を短くしたヤモリ、同じ敵に襲われたのでしょう。このところ、待てど暮らせど姿を見せません。

「駄目かな」

「ええ」

「諦めた方が良いかな」

「そうよ」


 姿を見せないヤモリに未練のある家族の会話は、溜息の翁を慰める相方の呆れる返事ばかりです。何度ガラス窓を見ても、愛らしく尾を振るヤモリの姿はありません。


 ところが昨夜、ガラス窓の上部に現れた動くものは、心配していたヤモリです。ガラス窓の中央に移り、元気な姿を見せてくれました。

「おお、現れたぞ」

「何が」

「決まっているじゃないか」

「いいえ」


 意味不明な日本語を諦め、翁は窓ガラスを指差します。すると、相方も笑顔になりました。

「良かったわね」

「そうさ。これほど嬉しいことはない」

「大袈裟なこと」

「何しろ、家守だからな」


現れた ヤモリに歓喜 窓の隅



by tabigarasu-iso | 2018-08-22 18:27 | 随筆 | Comments(0)

蟻に喰われるカマキリ

 過日、蝉がカマキリに喰われる場面を見ました。空を舞う蝉でも、朝方は動きが鈍く、その瞬間をカマキリに襲われたようです。


弱肉強食の世界を目の当たりにしてから一週間後、今度は大きなカマキリが蟻に喰われている光景に遭遇しました。門扉の真下でしたから、怖いもの無しのカマキリが油断して、誰かに踏まれて絶命したようです。


その後処理を引き受けた蟻は弱肉強食の悪漢ではなく、停止した命を無駄にしない再生の神様と言えるでしょう。


数え切れない群がカマキリの身体に取り付き巣へ運ぶ光景は、エジプトのピラミッド建築中の人の様に思えました。


蟻さんが 運ぶカマキリ 寸刻み


by tabigarasu-iso | 2018-08-21 16:38 | 随筆 | Comments(0)

 内部監査や外部審査において、要求事項を満たしていなければ不適合の判定がなされます。この要求事項には、ISO規格の要求事項だけでなく、組織が守ることを自ら定めたマニュルや手順がありますが、要求事項を知っていれば誰でも迷わず不適合は検出できるでしょう。


ところが、今の所は要求事項を満たしているものの、将来的に要求事項を満たさない可能性のある事項として、観察事項を検出するのは容易ではありません。何故なら、現在は要求事項を満たしていながら、将来的に満たさない案件の検出は大変難しいものです。例えば、順守プロセスの説明が人により異なる場合、現在は順守結果に問題がないとしても、将来は担当者の異動により順守が危うい可能性があり、これを観察事項にするには複数の人に順守プロセスの質問が必要になる。


少しでも要求事項を満たしていなければ原則的には不適合ですが、記録に押印が一部ないなどは不適合ではなく観察事項としている場合が大半です。これを見逃せば、将来、誰が認めたのか分からない記録ばかりになり、文書化した情報の管理が出来ていないシステムになりますから。


では、肯定的観察事項とは、どのようなものでしょう。ある審査機関では、システムの良い点を肯定的観察事項としています。現在は特に優れていると誉める内容ではないが、将来は優れている内容が期待される良い点を取り上げ、審査を受ける組織の意欲向上支援でしょう。人は誉められて成長する場合が多く、良い手法だと思います。


ただ、肯定的観察事項の根拠を明らかにしなければなりません。規格のどの要求事項に対して良い点なのか、それを明らかにしなければ客観的な事実に基づく審査とは言えないのです。何れにしても、不適合や観察事項と言った駄目を指摘するだけでなく、良い点を誉める審査は参考にしなければなりません。


寝た赤子 覚ます呼鈴 何とする


by tabigarasu-iso | 2018-08-20 15:00 | ISOマネジメント | Comments(0)