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白髪の旅ガラス

噛まれた小指が痒い

 環境ISO事務局と元事務局の方がコンサルを囲む懇親会は、過去の話から現在の話と続き、未来のあるべき姿まで終わりを知りません。それでも、会の中核を担う若手の瞼が怪しくなると、解散することになりました。

 元事務局の一人は、自分をホテルまで車で送って下さる。
「お世話になります」
 礼を言って乗り込んだ車内には、我が家のチビトラより小さな犬が助手席から自分を見詰めて居ます。

「おいで」
 と条件反射で言えば、何の疑いもなく後部座席に座る自分の腕に飛び込み、指先から手の甲まで細い歯で程良く噛んで止めません。

「おい、随分、馴れ馴れしいじゃないか」
 そう言う主人には構わず、自分の腕に絡み付く子犬は、未だ生後二カ月とのことですから、人の命令より本能に従う。

「おい、見たか」
 笑いながら、相方に伝える主人に言いました。
「コンサル、受け取るのは人の気持ばかりではありません」

 小指噛む 相手は歌と 大違い
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by tabigarasu-iso | 2014-08-30 08:30 | 小説 | Comments(0)

車内歩行

 運動不足を解消しようも、暑い最中に歩くのは危険です。幾らか涼しくなり、散歩を再開しようと思えば雨が降り、散歩が出来ない理由ばかり続いていけません。

 仕方なく始めたのは、新幹線の16号車から5号車までの車内歩行です。1車両の長さは20メートル程でしょうか、それを12倍すれば240メートルになり、重い鞄を手にして左右に揺れながらの歩行で、幾らか運動不足は解消されたことでしょう。

 それと言うのも、小田原駅から乗車した新幹線はこだまの16号車で、名古屋駅でのぞみの5号車に乗り換える時間が数分しかなかったからです。こだまの車内を歩いて5号車まで移動すれば、名古屋駅では歩かずにのぞみの5号車に乗れる。

 計画的な歩行に違いありませんが、積極的な歩行とは言えません。このままですと、やがて足腰が弱くなり、行きたい場所へ行けなくなる。そうならないよう、これからは冷暖房の心地良く効いた新幹線車内を積極的に歩くことにしましょう。

 曇り空 朝顔の咲く 時遅く
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by tabigarasu-iso | 2014-08-29 08:29 | 小説 | Comments(0)

モロコシのままで

 高原で栽培したモロコシは、一生懸命に太陽を浴びる所為で実に甘いものです。それも収穫してから数時間のものは特に甘く、味気ない御飯など食べる気にもなりません。

 人間が話すのも忘れて齧る姿を見て、物好きな猫が欲しがります。試しに数粒あげると、ウマイ美味いと言いながら食べるではありませんか。勿体なく思い、芯をあげれば、しばらく齧りついて離れません。

 翌朝、猫は洗面所に用意した専用トイレから這い出し、出たヨ出たヨと室内を元気に走り回ります。そこで、紙製の砂山を専用のシャベルで掘り起こせば、中に見事な成果物がありました。

 良く見れば、昨日のモロコシがそのまま成果物の一部に組み込まれています。
「あったよ」
「何が」
「モロコシのままで」
「その先は言わないで」

 ありのまま 姿変えない ものもある
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by tabigarasu-iso | 2014-08-28 08:28 | 小説 | Comments(0)

冷やし過ぎで眼鏡が曇る

  新幹線からタクシーに乗り換えた時のことです。行く先を運転手に告げてから迷いました。
『このままでは冬眠しそうだ。もう少し走ってから言おうか』
 
 ところが、自分より年配の運転手は涼しい顔をしています。
『寒さに慣れるしかないか』

 腕を前に組むと、それほど寒さは感じません。
『環境の変化に耐えるカラスかな』

 やがて降車、車外に出ると瞬く間に眼鏡が曇ります。それは、冬の場から夏の場に飛び込んだ証でした。こんな呑気が言えるのも、寒さ厳しい田舎に育った所為でしょうか。

 運転手 冷え過ぎ身体 お大事に
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by tabigarasu-iso | 2014-08-27 06:30 | 随筆 | Comments(0)

猫の球技

 長靴を履いた猫の話は、遠い昔に聞いた覚えがあります。童話ですから、作者の想像力によって、庭先に転がる石に話をさせることも可能でしょう。

 その点、馬が話すドラマをテレビで観た時には驚いたものでした。作者の思惑通りに動かない馬を、良く躾けが出来たものだと感心したものです。

 我が家のチビトラは、自らの意志で卓球の玉をガラス容器から前足で掻き出し、床に転がして左右の手で器用に操る球技を誰に強要されることもなく覚えました。

 作り話や画像編集などではなく、目の前で飽きるまで見せてくれます。ただ、卓球の玉が置物の下に入り込んでしまい、どうしても自分の手で取り出せなくなると球技は終わり。それから観葉植物の寝床に入り、ふて寝する様子は誰かに似ています。

 家の中 丸い白球 猫も追い
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by tabigarasu-iso | 2014-08-26 08:26 | 小説 | Comments(0)

梅干し

 この時期になると梅雨明け時に漬け込んだ梅干しが店先に並ぶ。どれにしようか品定めする間に涎が流れ出る。それを手の甲で拭き、品定めが一巡したところで、故郷の味に近い品を選ぶ。

 ところが、大半の品が昔懐かしい梅干しではないと分かる。味付けに懲り過ぎ、柔らか過ぎ、妙に甘過ぎて酸っぱい。故郷の塩辛い強烈な梅干しが恋しくて、故郷で暮らす姉に梅干しを漬けて貰った。

 そろそろ漬かった頃であろうと、墓参りの帰路に姉の家へ立ち寄る。昔話に花を咲かせて数時間、腰を上げたところで望みが叶う。それも沢山、半年先まで楽しめそうである。

 早速、朝飯に一粒食べた。その瞬間、半世紀前の自分に戻ったようである。当時は食生活が貧しく、決して好きな梅干しではなかった。何でも簡単に何時でも手に入る今では、当時と変わらぬ素朴な味は捨て難い。

 梅干しに 昔を偲ぶ 夏終わり
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by tabigarasu-iso | 2014-08-25 08:25 | 随筆 | Comments(0)

土石流の脅威

 これまで経験したことのない大量の雨が山肌に降り、土中に滲み込んだ雨水は斜面の土石流を一気に下方へ押し流す。下方にあった多くの住宅は、土石流に押し流されて潰れ、尊い命が一瞬にして数多く奪われた。

 そこは、同じ被害が数年前にもあった地区である。何故、その教訓が活かされなかったのだろう。山に降った大雨で土石流が発生して押し寄せる脅威を知りながら、それが起きる可能性を失念していたのかも知れない。

 そうは言っても、裏に控えた山へ出掛けてみなければ、土石流が発生する可能性など想像することも出来ないだろう。森から離れ、森の有り難さや鉄砲水の脅威を忘れた人の弱点である。

 山肌の斜面を抱える木の根が張っていなければ、その斜面は脆い。植林された針葉樹は建築材料として価値はあるが根は浅く、豪雨があれば流される側に回る。一方、建築材料としては価値のない広葉樹だが、根は土中に深く張って豪雨にも強い。果たして、土石流の発生した山肌には、どんな樹種が育っていたのだろう。

 森を出て 脅威忘れた 裸猿
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by tabigarasu-iso | 2014-08-23 08:23 | 随筆 | Comments(0)

脅威と機会

 脅威と機会、何となく両者の違いは分かります。それでも、日常生活で支障はありませんが、改正される環境ISO規格の中で使われることになりましたので、環境ISO審査に携わる者としては、違いを正しく理解して置かなければなりません。

 そこで、広辞苑で調べてみました。脅威はおびやかしおどすこと、機会は何かをするのに好都合な時機と説明されています。例えば、ミサイルを日本海に向けて発射するのは「脅威」で、汗を掻いた後で冷えた麦酒を飲むのは「機会」であることが分かりました。

 ところが、改正される環境ISO規格では、脅威と機会に関するリスクの決定が要求されることになります。脅威と機会は分かりましたが、リスクは危険としか分からない。脅威のリスク、機会のリスクを決定する要求ですが、おどしの危険、機会の危険ではなさそうです。

 どうやら、リスクを危険と訳しては意味が通じない。環境ISO規格の用語の定義を調べてみれば、リスクとは不確かな影響とありました。これも良く分かりませんが、脅威のリスクとは事業不振や破綻の可能性、機会のリスクとは事業発展の可能性と理解したら良いのではないでしょうか。

 規格屋の 頭の中は 曇りかな
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by tabigarasu-iso | 2014-08-22 08:22 | ISOマネジメント | Comments(0)

すねる猫

 新聞を広げて読んでいるとその上に寝そべる。そうかと思えばパソコンのキーボードを叩いているとその上を歩く。人の見えるところでわざと人の邪魔をする意地の悪い猫、チビトラが居る。

 生後1年の雄猫で遊びたい盛りがそうさせるのだから罪はない。今宵も開いた本に乗り先を読ませない実力行使に出たところで、それと知った家人に強制退去させられてしまった。

 そんなことがあったとは知らず、台所の前で淋しそうに佇むチビトラを見付け、読書する家人に尋ねる。
「どうしたのかな。隠れ家にも入っていないぞ」
「すねているのよ」
「どうして」
「本から下ろしたから」
「なるほど、猫もすねるのか」

 移動させた本人がチビトラを抱いて食卓に乗せれば、嬉しそうに読み掛けの紙上で腹を見せた。その目は切れ長で不愛想だが、意地悪して気が済んだのか、眼球の奥を覗けば笑っているように見える。

天下 行き過ぎ戻る 滝の汗
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by tabigarasu-iso | 2014-08-21 08:21 | 小説 | Comments(0)

お話でてこい

 BGMにラジオを点ける。ビーとノイズが入って具合が悪い。直ぐ上に蛍光灯を点けた所為だろう。手を伸ばして消せば良いが、そのままラジオの局を変えることにした。

 感度良く出たのは、懐かしい「お話でてこい」の歌である。番組を聞く対象年齢から大分離れているが、誰も文句は言わないだろう。それどころか、それは聞き入る話であった。

 妙に思い、インターネットで調べてみる。1954年11月からスタートとした長寿番組であった。自分の生まれ年に近いから、懐かしさはその所為もあるだろう。

 更に詳細を調べれば、月曜日は幼稚園年少児で、火曜日は年中児に向けになり、水曜日は年長児向けとあるから、自分の心の波長は年長児と同じである。

 来週になったら、月曜日と火曜日の「お話でてこい」も聞いてみよう。もしかしたら、年少児や年中児向けのお話も心に響くかも知れない。

 ラジオ聞く 頭の中に その昔
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by tabigarasu-iso | 2014-08-20 08:20 | 随筆 | Comments(0)