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白髪の旅ガラス

耳栓

 毎度のことですが、ホテルの空調音には困ったものです。空調音のしないホテルに泊まれば解決することですが、そうしたホテルは宿泊料金が高くて決められた予算で利用することは叶いません。

 そこで、今回は新兵器として耳栓を使うことにしました。たまたま、出張用の鞄のサイドに、ある組織を訪問した際に頂いた耳栓を発見したのです。機械騒音から聴覚を守る職場では、作業者は耳栓が義務付けられ、そこに立ち入る人にも配付されたものでした。

 耳栓の効果は大いにあり、案内してくれた人の話も聞こえません。仕方なく耳から外して会話した後で、ホテルで使用することを想定し帰り際に頂いたものでした。それを想い出して鞄のサイドを探れば、耳穴にスッポリ収まる素敵な色の耳栓が底の方にあったのです。

 ただ、耳栓を付けた状態でモーニングコールの電話が聞こえなければなりません。試してみれば、幾らか音は聞こえます。そのまま深い眠りに入りたいところですが、安心した喜びで興奮した脳は、あれこれ映像を浮かべて容易に終わることはなく、寝付いたのは朝方となりました。

 雑音も 無ければ困る 寝床かな
by tabigarasu-iso | 2014-06-19 00:00 | 小説 | Comments(0)

酒豪のダイエット

 昼食に取り揃えた皿の種類を見て驚いた。
「野菜ばかりですね。何処か具合でも悪いのですか」
「ええ、ダイエット中でして」
「穀物を食べないで、良く我慢できますね」
「なに、週末には米の水を沢山頂きますから」
「そうですか。で、如何ほど」
「昔は一升ほど」
「酒豪ですね」
「いや、今は控え目に」

 酒量を聞いただけで、こちらが酔いそうである。その前に話題を変えた。
「このカレーライス、なかなかのものですぞ」
「そうですか。一度も口にしたことがありませんから、何とも言えませんが」
「で、ダイエットの効果は現れましたか」
「体重が減ることはありません。が、増えることもなく、週末を迎えます」
「なるほど、それで週末に沢山の米の水を補給し、その勢いで週の中を乗り切る」
「その通りです」

 そんな酒豪と出会ったのは、小田原の酒匂である。話している間にも、何処からか酒の匂いが漂いそうな場所で迎えた午後、居眠りを予測して酒豪の顔を見た。それを承知していたのか、酒豪は笑みを返す。

 酒豪ばかり注目しては失礼だから、その隣の人を見た。下がり始めた瞼を必死に上げようとしている。きつと、炭水化物を腹一杯詰め込んだのであろう。胃袋に血液の大半が動員され、脳内の血液は空に違いない。酒豪のダイエット方法、居眠り対策には良さそうである。

 酒匂川 漂う風に 誰も酔う
by tabigarasu-iso | 2014-06-18 00:00 | 小説 | Comments(0)

浅い眠り

 かなり長い揺れがあった早朝のこと、何処が震源地なのか不明のまま、棚に置いたミニカーの位置を元に戻す。もう揺れまい、そう念じて身支度を整えた。

 前泊すれば良いのだが、一番列車に乗れば楽に間に合う訪問先ゆえ、眠りから醒めきらない眼のまま駅に向かう。ホームには、それが当たり前のように列車を待つ乗客の長い列が出来ていた。

 席を確保すれば、条件反射で瞼が下がる。そこで寝不足を補えば良いものを、何か勿体ないような気になり、貧乏性の動物はパソコンを取り出し、明るい画面の中に文字を置く。

 終着駅まで一時間余り、眠い心に浮かぶ泡のような文章が出来上がる。読み返すに値するものか、目の覚めたところで考えてみよう。取り敢えず、生きた証だけは遺せたようだ。

 夢に見る 父母兄弟の 若い頃
by tabigarasu-iso | 2014-06-17 00:00 | 小説 | Comments(0)

 遂に、その日が来たようです。絶滅を危惧される種として、二ホンウナギが指定されました。これから暑い日を迎え、体力を付けたい人にも、ウナ重はますます食べ難くなるようです。

 既にウナギの値段は高騰しており、経済的にも利用し辛いところへ、絶滅危惧種の指定ですから、それを敢えて食べようとする人は少なくなるのは当然のことでしょう。ウナギの値段が更に高くなれば利用者は更に減り、ウナギ専門店は商売になりません。

 それに、絶滅危惧種に指定された魚を口にすることは、何となく後ろめたいものです。輸入した安物が市場に出回っていますが、それも何れは絶滅危惧種に指定されることでしょう。

 
 こうなれば、ウナギの個体数が増えるまでウナ重を食べない。ウナギ屋さんには申し訳ないが、そんな決心が必要な時期に来ているようです。

 絶滅は 信じられない ウナギ通
by tabigarasu-iso | 2014-06-16 00:00 | 随筆 | Comments(0)

虎ノ門ヒルズ

 都内地下鉄虎ノ門駅を出てから北上すること数分、やけに待ち時間の長い交差点で時計を見る。時間潰しに周囲を見渡せば、幅広い道路が地下へと潜り込み、その脇には空まで届く巨大なガラス張りビルが出来ていた。

 その頭は斜めに欠けて、下方は貴婦人が脚を絡めたようである。派手なデザインに感心するより呆れて、漸く変わった青信号に先を急ぐ。さて、自分の目指す「虎ノ門HILLS」は何処にある。

 ナイジェリア大使館の手前と地図にはあるが、それらしき名のビルは見当たらない。確認しようにも休日のオフィス街に人の通りはなく、遠くから同じ会議に参加する仲間の手招きで坂道を引き返した。

 それから三日後、「虎ノ門ヒルズ」開業のニュースをテレビで知る。画面には、「虎ノ門HILLS」の直ぐ手前に位置する例の呆れたデザインのビルが映し出されていた。二つのビルは文字で見れば別だと分かるが、発音は変わらない。

「今日は何処で会議」
「トラノモンヒルズさ」
「あら、凄い場所で会議をするのね」
「いや、年季の入ったビルさ」
「やあね。完成したばかりでしょ」
「ヒルズにも色々あるさ」

 釣竿で 寸法測る ペンキ屋も
by tabigarasu-iso | 2014-06-15 00:00 | 小説 | Comments(0)

水中の食物連鎖

 唐の時代、鯉と豚と鴨を飼いながら米を作っていたそうです。鴨と豚の糞を肥料に池で藻類を育て、その藻を小さな鯉が食べて育ち、成長した鯉は水田に放され害虫や雑草を食べて更に育ち、その糞で田圃を肥やしてから人の食用に回されたようでした。

 この話では、鴨や豚の餌になるのは何か明らかにされていませんが、人に飼われている家畜ですから人の作った穀物で腹を満たすか、鯉を食べた人の糞で腹を満たしていたのかも知れません。

 水中の藻は、太陽光と糞の共同作用で育ちます。その藻が餌になり育った鯉を人は喰い、その糞でまた藻が育つ。こうした食糧連鎖を利用した農法は、化学薬品を使わない無農薬栽培ですが、今では少数派になっています。

 ところで、我が家の水槽には大きな金魚が二匹、金魚の餌を食べて大きくなりました。その間、糞を排泄すること凄まじく、糞で育つ筈の藻まで食べてしまい、汚れた水の入れ替えが大変な作業になっています。

 そこで、藻の数を増やし、苔や沈殿物を食べる貝も投入し、金魚の糞を全て肥料や飼料とするように工夫しましたが、伸び過ぎた藻で金魚の泳ぐ空間が少なくなり、仕方なく藻を間引きしたところ、勢力を取り戻した金魚に藻が喰われて芯だけとなり、食物連鎖は上手く行きません。

 水浄化 自然の力 借りて知る
by tabigarasu-iso | 2014-06-14 00:00 | 随筆 | Comments(0)

地球温暖化対策一歩前進

 地球温暖化は、地中に眠った化石燃料を眠りから覚まして地上へ引き出し、燃やすだけ燃やして発生する二酸化炭素を大気に捨ててきたことが原因です。
 
 大気中に捨てられた二酸化炭素は、地球の熱を貯める毛布の役割を果たし、石炭を燃やして蒸気を作り動力源にした産業革命以降、地球の気候を上げ続けて来ました。

 地球温暖化は、異常気象や海面上昇などを引き起こすことから、二酸化炭素の削減が急務になっていますが、これまで大量に放出する米国や中国などは削減を約束する仲間に入りませんでした。

 2014年6月3日、どうした訳か米国オバマ政権は、火力発電所から放出する二酸化炭素量を規制することを発表したのです。それも、2005年比で2030年までに30%と言う大幅な削減ですから、地球温暖化対策においても米国がリーダーシップを取るつもりでしょうか。

 そのガスを 空に捨てたら 温暖化
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by tabigarasu-iso | 2014-06-13 00:00 | 随筆 | Comments(0)

睡魔

 話の最中に瞼が下がるのは話を聞く方で、少なくとも話す自分ではありません。ところが、話を終えて帰路の電車で椅子に座った途端に瞼が下がる。その心地良さは、耳垢を取って貰った時のようです。

 そのまま眠りに入りたいところですが、幾つか先の駅で乗り換えなければなりません。仕方なく、電車が停車する度に瞼を上げます。いっそのこと、瞼を下ろしたまま電車の終点まで行ってみようか。

 急ぐ帰路ではありません。そうしたいところですが、もう一人の自分がそうさせない。
「起きろや、起きろ、さあ起きろ」
 そのうるさいこと、さっさと睡魔は逃げて行きました。

 今頃、睡魔は誰を襲っていることでしょう。その手が空いたなら、もう一度戻って貰いたいものです。何とも言えない心地良さ、もう一度体験させてくださいな。

 雨降りの 昼過ぎた頃 睡魔来る
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by tabigarasu-iso | 2014-06-12 00:00 | 小説 | Comments(0)

空腹の限界

 日本では少子化が進み人口の減少対策を課題にしていますが、世界的には人口の増加に伴う食糧の確保が大きな課題となっています。

 万が一、食糧が手に入らなくなった際、人間は空腹のままどのくらい生き長らえることができるのでしょう。ナショナルジオグラフィック2014年6月号によれば、何も食べなくても人間は100日生き長らえることができると言うことです。

 その間に食糧を手に入れることができれば生命の維持は可能ですが、さもなければ大勢の餓死者が発生することでしょう。因みに、冬眠する熊は半年余り何も食べなくても平気です。

 絶食のチャンピオンらしき生物は、鳥羽水族館で過日亡くなったダイオウグソクムシが5年以上も絶食して有名ですが、仮に人間がそうなれば世界から食糧難はなくなり、環境問題も改善されることは間違いありません。

            腹減った 一日我慢 難しく
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by tabigarasu-iso | 2014-06-11 00:00 | 随筆 | Comments(0)

有効な全体会議

 会議には、必要のないものもあります。その点、自由に意見交換のできることを目的とした全体会議は、何を差し置いても参加しなくてはなりません。その理由、敢えて説明させて頂きます。

 ITが普及した昨今、電子メールで情報を流せば全て伝わると勘違いする人が多いのではないでしょうか。電子メールで判るのは、表面的なことだけです。真意を理解しようとするなら、相手の表情を見なければなりません。

 例えば、家庭での意志疎通を想定してみてください。意に沿わなければ横を向く、同意すれば笑顔で応えてくれるではありませんか。仕事先であっても、同じ人間の遣り取りですから違いはないでしょう。

 審査員を集めた会議、その仕上げは全体会議です。参加費用を払い、先の会議の話題を引き継ぎ盛り上がること、終わりを知りません。その成果を活かすも殺すも、参加者の力量次第ですが。

 日曜日 翁の出番は 飲み会さ
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by tabigarasu-iso | 2014-06-10 00:00 | 随筆 | Comments(0)