人気ブログランキング |

ブログトップ

白髪の旅ガラス

立春の雪

 机に向かい何やら夢中で過ごして居ると、ふと視界に暗い空が入った。そこでノンビリと首を回してカーテンの隙間から外を見れば、大きな雪の塊がフンワリフンワリと舞い落ちて来る。

 暦の上では、今日から凍みが溶ける春の筈だが、それとは裏腹の寒さ厳しい雪の日となった。たまたまのことであろうか、己の随筆を数年分遡って確かめれば、昨年もそれ以前もそうであったから、例年通りのことと言える。

 ならば、現状に合わせて暦を変えれば良い。だが、昨今の気候変動は予測が難しく、暦を変えたところで、また暦とは異なる気象となるだろう。そこで、余り細かいことは気にせず、今は冬の只中、春が来るまで奥山の穴で寝て暮らす、熊の気持になることを勧める。

 そもそも、季節を楽しむゆとりを失くした人が多過ぎる。冬は雪が当り前であり、春は新芽が吹き出し、夏は暑く、実りの秋は神に感謝して人は酒を煽るが良い。窓の外、盛んに降りしきる雪を見ながら、季節感を失いそうな自分にそう言い聞かせる。

 気の所為か 雪は静かさ 取り戻す
d0052263_13172367.jpg

by tabigarasu-iso | 2014-02-05 00:00 | 随筆 | Comments(0)

薮審査員

 薮医者は、怪しい呪術で治療するいい加減な人のことである。呪術は使わなくても、いい加減な診立てで商売する医者に遭遇したなら、限りなく運の悪い患者と言えるだろう。

 同じことは、環境ISOの審査員にも言える。指摘の根拠を明らかにしないまま、審査先の現状も省みないで、主観だけで修正や改善を残して帰る審査員に遭遇したなら、限りなく運の悪い受審者と言えるだろう。

 そうした薮な審査員に遭遇したなら、諦めないで次の様に対処すると良い。
「審査員の思想は分かりましたが、指摘の根拠を具体的に示してください。さもないと、対応することが出来ません。また、その根拠が納得出来なければ、勿論、対応することもありませんので御了承ください」

 かように態度を明らかにして置けば、流石に薮な審査員でも主観は捨て、懸命に客観的な事実を集めることでしょう。ただ、客観的な事実と言っても、審査先の仕組みが良くなる指摘ではなくては意味がありません。

「社長は、前年度の目標未達の原因を考え、今年度の目標設定をするよう指示されていますが、当事者の発言や関連記録によれば目標未達の原因究明が未だに実施されていません」
 かような指摘は、審査先の是正処置の仕組みを改善することになり、薮な審査員などと言われることはないでしょう。

 薮医者に 教えて貰う 良い審査
by tabigarasu-iso | 2014-02-04 00:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

宴会電車

 秩父線羽生行の電車に乗り込んだのは、土曜日午後五時のこと。未だ外は明るく、車内には山歩きの一団が席の大半を占め、焼酎や日本酒の入った紙コップを手にして酒盛りの最中であった。

 七十歳近い男女の一団は電車の騒音に負けないよう話すから、それが周囲に広がり何とも喧しい。辺りに幼い子でも居たなら、マナーを忘れた暴走老人に一声掛けるところだが、幸い大人ばかりであったから止めにする。

 小生と同じく仕事帰りの人は、敢えて宴会の集団を無視しているようだ。或る人は黙って文庫本を読み、宴会の雑音など気にならないような振りをしている。自分も同じ立場なら同じ様に宴に興じると、容認を決め込んだようだ。

 ところで、元気良く酒を飲むのは良いけれど、秩父線の電車にはトイレがないことを承知しているのであろうか。いつもの調子で飲み過ぎれば、途中下車でもしない限り、一時間半余りトイレを我慢する忍耐の旅になるだろう。

 爺婆の 元気な姿 鬼も見て
by tabigarasu-iso | 2014-02-03 00:00 | 随筆 | Comments(0)

不治の宣告

「あなたの耳は加齢ですから、今より良くはなりません」
「すると、聞こえ難いまま過ごすことになるのでしょうか」
「ええ、現状を受け入れてください」
「そうですか」

 治ると信じて通い続けた耳鼻咽喉科の医師は、治療を始めて一ヶ月が経った時点で、言葉巧みにそう言った。だが、治らないと言われた側は堪らない。何の治療も施されないまま、すっかり気を落として帰路に着く。

 それにしても、不治の宣告は可笑しい。水の底で音を聞くようになったものの、時々、元通りに聞こえる時もあるから、このまま聞こえ難いままで終わることはなかろう。そう思い直して、別の耳鼻咽喉科を受診することにした。

「どうしましたか」
「耳の聞こえ方悪くなりまして」
「何時からですか」
「二ヶ月前からです」
「どうして、これまで治療しなかったのですか」
「いいえ、昨日まで治療は受けていましたが、そこで治らないと宣告されましたので」
「いいえ、治ります。原因は中耳炎で、鼓膜が内側に押されていますから、炎症を治し、鼓膜を元の位置に戻しましょう」
「そうでしたか」

 当然のことながら、医者にも色々ある。話は旨いが診立ての悪い医者に遭遇すれば、言葉に騙され病気は良くはならない。医者は、噺家ではないから話が下手でも診立ての良い人を探し当てるまで、決して諦めないことだと教えられたようである。

 薮医者に 別れを告げる 患者あり
by tabigarasu-iso | 2014-02-01 00:00 | 随筆 | Comments(0)