人気ブログランキング |

ブログトップ

白髪の旅ガラス

<   2011年 06月 ( 53 )   > この月の画像一覧

並みのタコ焼きじゃない

 いつもなら売り切れている時間帯であった。それでも、万が一もあるから聞いて見る。
「ありますぅ」
 やはり、語尾には頼り無さが残った。

「八個なら」
「・・・頼みますぅ」
 今の語尾は、嬉しさの余りである。

 仲間の一人が熱いタコ焼きを口に入れた。中から、旨味汁がゆっくり流れ出す。逃げ場のない舌が驚いた。慌てて、冷えた麦酒を流し込む。漸く落ち着いたところで、店の主人に訊いた。

「この軟らかさ、淡い味は初めてです。何か秘訣があるのでしょうね」
「出汁撒き卵と同じ要領ですぅ」
 企業秘密を簡単に教えてくれる。余程、腕に自信があるに違いない。

梅雨明けの 猛暑の顔が 天に見え
d0052263_18151155.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-24 18:15 | 随筆 | Comments(0)

しわい

 岡山の標準語に精通した方が言いました。
「あいつは、しわいなあ」
「・・・」

 群馬北西部の山育ちには、しわいの意味が判りません。
「しわいは、どんなしわですか」
「しゅわえともいいよる」
「・・・」

 ますます判らなくなりました。
「例えば、あいつ以外にどんなことでしょう」
「噛み切れん場合じゃろう」
「・・・」

 あいつは噛み切れないでは、意味が通じません。
「あいつと噛み切れない間の繫がりは」
「あいつは財布の紐が固い、つまりケチじゃ。喰えない奴は、噛み切れない奴じゃ」
「・・・」

国訛り どんな意味かと 尋ねれば

d0052263_1371787.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-24 01:37 | 小説 | Comments(0)

有名な映画は面白いか

 出来の悪い弟と家事に汗する姉が主人公の映画をテレビ放映で観賞した。途中で飽きてしまったが、最後まで観ないと勿体ないから我慢したものの、やはり詰まらないまま。

 それは、学生役の弟とその姉が老け過ぎた俳優ながら、双方の科白は幼稚なもので、聞いている方が恥ずかしくなるものであったからだである。

 有名な映画監督の百選の一つであったが、人により好みが違う典型的な例ではなかろうか。それとも、出演者の名に負けて、その監督が義理で選んだものかも知れない。

 決定的なマイナスは、姉と弟の科白や身振りが下手過ぎるのに比べ、実父と継母の役者の演技が上手過ぎたことであろう。

有名と 実あるものとは 別なもの
d0052263_2081990.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-23 20:08 | 随筆 | Comments(0)

ありがとう

 素直に言える有難う
 仕事で燃える還暦の
 爺さんなれど現役で
 若い相手に手を合せ
 本音を語る居酒屋は
 額に汗する熱い椅子
 舌打ちながら酒交し
 終り知らぬ高砂駅前

 嬉しさに 高砂歌う カウンター
d0052263_05897.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-23 00:05 | 小説 | Comments(0)

暗示の恐怖

 人とは不思議な動物です。自分の身体では出来ないことでも、道具を器用に使い月面着陸まで実現してしまう。また、文字や画像を巧みに使い、声の届かない相手にも意志を伝達することが出来ます。

 そればかりか、情報の流し方により、相手が意識しないところで、相手の行動をコントロールする遠隔操作も可能ですから、ゆめゆめ踊らされてはいけません。テレビで繰り返し放映されるコマーシャルは、その典型的な例でしょう。

 それから逃れるには、目的を持ってテレビ番組に臨み、それ以外は電源を切ることです。では、コマーシャルが無ければ良いかと言えば、そうでもありません。漫画やドラマなどで執拗に繰り返される場面にも、同じ暗示の効果がありますから、その狙いを見極める必要があります。

 新しい玩具を買わせるのが狙いであれば、古い玩具を大切にする話題を忘れず挟み、冷たい麦酒を飲ませるのが狙いなら、喉の渇きを潤す天然水を敢えて飲んでみましょう。それでも身体が麦酒を求めるなら、その暗示に従うのも悪くありません。

 ただ、恐いのは戦争に駆り立てる暗示の類です。我が民族、我が国などと連呼する放送には、本当は誰の為の放送内容か、疑うことが必要でありましょう。

報道の 統一された 時代見て
d0052263_12241450.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-22 06:52 | 随筆 | Comments(0)

カクレミノ

 蓑(ミノ)を知らない世代が大半を占めるようになれば、隠れ蓑の昔話など誰も振り向かなくなる。それを被れば、透明人間になれる優れた物語だけに残念なことだ。

 或る組織の門を入って直ぐ右手の植え込みは、雨を受けて葉を輝かせている。その根本のほうには、「カクレミノ」の掲示がしてあった。

 それは、小学校の低学年を過ごした分校で、雨が降り続け校庭で遊べない子供達を集め、先生が聞かせてくれた当時を想い出させる。

「あの植物の名前、知っていますか」
 昔の想い出に浸りたくて、用も無いに聞いてみたが、相手は気にも留めていない。

「カクレミノと言うものですよ」
 そうですかと言われて話は終わり、昔話は隠れ蓑の内側に消えた。

雲退いて 滴り落ちる 陽の光
d0052263_20102969.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-21 20:10 | 随筆 | Comments(0)

無言のコンサル

 水のない小さな島まで水を運び、麦やモロコシを作り細々と暮らす、親子四人の生き様を捉えた映画をテレビで観た。

 天秤で水桶を担ぎ上げるシーンが何度も続くが、役者の話す場面が一つもない。科白はないが、言わんとすることは手に取る様に判る。

 ハッピーエンドでないから後味は悪かったが、科白のない映画が可能なら、話さないコンサルも可能ではないかと考えた。

 はて、言葉を話す替わりに身体を動かし、水質の汚れた川の写真を見せ、あるべき姿を図で示し、その為の施策を最後に見せたら、素直に頷いてくれるだろうか。

弁天の 駅に降り立ち 宿は何処
d0052263_10554975.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-21 07:12 | コンサルサービス | Comments(0)

未知との遭遇

 朝一番の電車に乗って間に合わない仕事は、前泊するしかない。それが日曜日の場合は、移動の民族が異なるようで、平日の移動とは雰囲気が違う。

 一人旅だから弁当を車内で黙々と喰い、家族連れの幼児の聞き取れない会話に耳を傾ける。機嫌の良い間は喋り続け、やがて飽きてくると愚図を言う。

 それを操作する親の智恵に驚いたり呆れたり、余りも無責任な親には説教したくなるが、自分にも多少は覚えのあることだから、少しの時間なら我慢もする。

 それが程度を超えて長引くようであれば、流石に席を立つ。早速、現場に近付き、親の顔を見てから、その後の言葉を選ぶ。

 日本語が判るようであれば、「賢いお子さんですね」と心にもない言葉で誉め上げて、そうでなければ車掌に注意を促す。後席の幼児は、その必要性のないことを願いたい。

本開き 眠る姿は 己かな
d0052263_19172378.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-20 18:50 | 小説 | Comments(0)

審査員の進化

 審査には、厳しい基準を設け振るい落とすことを目的とするものと、皆が参加できる緩い基準で出来る限り掬い上げることを狙いとするものがある。

 環境ISOの審査は、多くの組織が積極的な環境保全活動に参加するのを促すもので、後者の典型的な例であろう。ただ、緩い基準ではあるが、その中でも環境保全活動の仕組みを、徐々に良くして行く必要がある。

 それが旨く行っているか否か、審査員は検証しなければ役目を果たせない。組織の進化を認めたら誉め、停滞或いは後退していたなら、警笛を鳴らす必要がある。

 その役目を充分に果たすには、環境ISOの理念と要求事項を把握していることは基本であり、それに加えて審査先の要望や課題を聞き出し、それらを解決する要素は環境ISOの何処か示し、その活用方法を議論できる審査員でなくてはならない。

 環境ISOの規格解説に終始する古典的な審査員は役目を終えて去り、経営を環境面から見て問題を発見し解決する能力を持った審査員の進化が期待されよう。

紫陽花の 葉の上走る 小カマキリ
by tabigarasu-iso | 2011-06-20 07:14 | ISOマネジメント | Comments(0)

余命

 誰も口には出さない
 余命僅かな愛犬見て
 遠慮をしているのか
 そんな野暮じゃない
 充分共に生きて来た
 若い頃は野原に遊び
 晩年は留守番役だが
 足腰の折れる最後迄
 吠える事は忘れない
 だが身体を蝕む癌に
 逆らう術もなく弱り
 今は悟った仏のよう
 やがて消え行く命に
 その宣告の意味なし

 電線で 飛行訓練 ツバメ見て
d0052263_16545349.jpg

by tabigarasu-iso | 2011-06-19 16:45 | 随筆 | Comments(0)