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白髪の旅ガラス

カテゴリ:ISOマネジメント( 452 )

報告書と実態の乖離

 審査報告書は、審査を受ける企業に報告するだけでなく、審査機関の判定委員会にも上申するものですから、審査員は両者を念頭にまとめます。


審査を受けた企業には、不適合ばかりでは審査が厭になりますから、審査員は管理責任者や事務局の立場も考え、良い点の記載を忘れません。一方、審査現場を全く知らない判定委員会の場で、審査員の所見が矛盾なく通るよう、審査報告書の流れは綺麗に編集します。


ところが、中には実態と審査報告書の乖離が著しい場合もありますから、次の審査では、そのギャップを改めて表に出すか、そのままギャップは無いことにして置くか、審査員は余分に迷わなければなりません。


どんな点に乖離が多いかと言えば、規格が改訂されて追加要求になった点です。例えば、「内外の課題を決定する」要求に対し、決定内容が不明にも関わらず、さも明確に決定されているような報告がなされていること。前の審査員の想像力の豊かさには、脱帽せざるを得ません。


次に多いのが、環境負荷の削減だけを環境目標に掲げ、業務目標と環境目標の統合がなされていない実態に対し、全く報告書では触れていない例です。これでは、環境ISOは審査の為だけで、やがて業務の役に立たないと言われますから、審査員は覚悟を決めて審査報告書にまとめなければなりませんね。


叱るより 誉めて育てる 報告書


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by tabigarasu-iso | 2018-10-12 10:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

人工知能と審査員の未来

 人工知能の普及は、審査の世界にどのような影響を及ぼすものでしょうか。審査の世界は、人生経験が豊富で年金受給資格の老人で運用されています。従い、経験豊富な老人に勝る知識と判断力が人工知能にも求められますから、簡単に参入できる分野ではありません。


 しかしながら、幾ら人生経験が豊富とは言え、組織の経営まで経験された方は少なく、マネジメントシステムの弱点や改善の知恵まで持ち合わせていない審査員が大半でしょう。そこで審査員としては、法規制やマニュアルからの逸脱を検出することになります。


法規制やマニュアルからの逸脱だけを検出するなら、人工知能の方が得意のようです。何しろ記憶力と識別の能力は人工知能の得意分野ですから、審査員は人口知能に置き換わった方が速くて安くて正確で宜しい。


経験豊富な老人の知識と判断力を発揮する審査は、経営者の本心を聞き出し、現場で相手の顔色を読み、指摘したい要所は指摘せず、対応し易い点を指摘することで、仕組みの改善が可能になる審査です。これは、審査員でも出来る人の少ない高等な審査ですから、人工知能では対応できません。


ロボットに 負けない審査 目指しても



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by tabigarasu-iso | 2018-10-09 16:30 | ISOマネジメント | Comments(0)

内部監査準備のコツ

 内部監査員養成コースを修了したからと言って、内部監査がすぐ出来る訳ではありません。車の免許は取ったものの、誰も同乗してくれないのと同じですから、安心して乗って貰える工夫が内部監査にも必要です。


 その工夫を忘れないよう紙に書いて置けば、初めて監査を行う場合にも心強い味方になるでしょう。では、どんな内容を書いたら良いのか、そのコツを紹介します。


マニュアルから監査を受ける側の役割確認が一つ、その役割が規格や法規制に適合しているか確認するのがもう一つ、これだけですから迷うことは何もありません。


ただ、規格や法規制の理解が必要です。そこで、規格の不明な箇所があれば何を要求しているのか、調べた内容を自分の言葉で書いて置きましょう。また、監査する相手が守る必要のある法規制の要求内容も調べる必要があります。


調べた内容を内部監査チェックシートにまとめて置けば、質問する内容には困りません。また、相手の答えが正しいのか誤っているのか判断する材料として、事実を予め調べて置くことが可能であれば、それもチェックシートに追記して置きます。


例えば、次の様な質問と確認が可能になるでしょう。

「前年度の目標の達成状況を説明してください」

「全て目標を達成しています」

「そうですか。事務局に確認したところ、前年度は生産効率向上の目標が未達成ですが、間違いありませんか」

「ええ、指摘の通りです」

「それでは、目標未達成の処置は」

「何もしていません」

「是正処置が必要とマニュアルには定めていますね」

「はい」


段取りが 八割占める 監査でも

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by tabigarasu-iso | 2018-10-03 06:45 | ISOマネジメント | Comments(0)

ISO14001審査の課題

 ISO14001:2004規格からISO14001:2015規格へ移行した組織に対して実施された審査の解決しなければならない課題について、審査員、審査機関それに審査を受けた組織に向け提案します。


 課題1)組織の目的に関連する外部及び内部の課題の決定

 組織の目的を明らかにしていない組織が多数あります。目的を達成する観点から外部や内部の課題が決定される筈ですが、目的が不明のまま外部及び内部の課題が決定されている組織の何と多いことでしょう。

これを審査員が見逃し、審査機関でも見逃す結果、組織の目的の達成にISO14001が役に立たないと言う誤解を生じます。

組織は、自らが存続する目的を明らかにしましょう。それは、社員の為にも、顧客の為にも有効なメッセージになる筈です。

審査員は、組織の目的が不明な場合、組織と議論すること、改善の機会として取り上げ、議論を次の審査員へ引き続がなければなりません。

審査機関は、審査員の報告書から組織の目的が明確か確認し、不明確であれば、次の審査で確認する指示を出す必要があります。


 課題2)環境マネジメントシステムの適用範囲の決定

 未だ、組織のサイト内の環境側面の管理だけで良しとする組織が多数あります。環境マネジメントシステムは、組織が管理し影響を及ぼせる範囲の環境側面を管理するものですが、これを文書化し利害関係者が入手できるようにする要求事項が追加されました。

 組織は、自らが管理できる活動、製品、サービスの範囲を文書化するだけでなく、影響を及ぼせる範囲として、燃料運搬委託、材料運搬委託、製品運搬委託、協力会社、廃棄物処理委託先などを文書化することが必要です。文書化しない場合、何故文書化しないのか、第三者の審査員に説明しなければなりません。

 審査員は、文書化したEMSの適用範囲に協力会社や廃物処理委託先を考慮したのか確認する必要があります。協力会社や廃棄物処理委託先が適用範囲に文書化されていない場合、考慮した結果なのか否か、確認しなければなりません。

審査機関は、審査員の報告書からEMSの適用範囲が適切か否か確認し、影響を及ぼせる範囲の確認が不十分であれば、次の審査で確認する指示が必要です。


課題3)環境側面の決定

 環境側面は、環境マネジメントシステムの適用範囲の中で、ライフサイクルの視点を考慮して決めます。しかしながら、適用範囲に含むべき協力会社の活動や廃棄物処理委託に関する環境側面が決定されていない場合があります。

組織は、適用範囲の理解を改めて、影響を及ぼす範囲の活動に関する環境側面を決定しなければなりません。

審査員は、適用範囲に協力会社や廃棄物処理委託先が含まれることを確認した上で、環境側面の決定に不足があれば指摘事項として組織に伝える必要があります。

審査機関は、審査員の報告書、組織から入手した環境側面の決定した資料を確認し、審査員が報告書で触れていなければ、次の審査で検証する指示を出さなければなりません。


この他にも、組織の規格要求事項の理解不足や審査員の検証不足や説明不足、それに審査機関の審査報告書の検証や次の審査への指示不足により、規格要求事項を満たしていない場合があります。しかしながら、環境ISOとは関係ない方には面白くない内容ですから、次の機会に紹介することにしましょう。


晴れ渡る 空を睨んで 猫昼寝

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by tabigarasu-iso | 2018-09-30 09:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

予想外の審査評価

 審査員は、組織の為に厳しい審査をする習性があります。中には手を抜いて、当り障りのない審査で終える審査員も居ますが、組織からの評価は審査員の思惑通りにはなりません。


先日の審査は、過去の審査員が見逃した点まで厳しく追及したものでした。従い、事務局の方は簡単には納得してくれません。それでも、誤解を正さないことには、環境ISOの意図する成果を達成することは叶わず、繰り返し説明した上で軌道修正を提案します。


 環境ISOの意図する成果は、事業目的を達成する視点から、環境目標の達成、環境パフォーマンスの向上(環境負荷の低減)、順守義務を満たす(コンプライアンス体制の強化)ことですから、それをシステムの推進役である事務局に理解して貰わなければなりません。


 とは言え、事務局の審査を厳しくすれば、事務局が審査員を評価する立場にありますから、後日届く審査員評価は厳しくなるものです。それは覚悟の上とは言っても、やはり懸命に説明した結果が反映されない評価は虚しい。


 ところが、予想外に大人の評価を頂くこともあります。

「説明等も的確で随分勉強になるところも多く、中身の濃い審査でした」

 かようなコメントが付けば、間違いなく世辞ではありません。


 寝愚図だよ 泣き方変える 孫の知恵

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by tabigarasu-iso | 2018-09-25 13:30 | ISOマネジメント | Comments(0)

サイト責任者の勘違い

 環境ISO審査の席で、サイト責任者の方が胸を張って言います。

「品質は、自分達の仕事のことですから、分かり易い。環境は、法規制を守れば、それで良い。ただ、それが分かり辛い」

「はあ、そうですか」


 言い切る相手には、違いますとも言えません。同じ気持でしょうか、責任者の勘違いを承知の様子で、隣に座っている部下の方も苦笑いしています。勘違いを正そうかと思いましたが、その後、責任者の方は席を離れてしまいました。


 部下の方は、環境ISOの本来の狙いを知らない責任者に触れないようにしているようです。再会しても敢えて触れないことにしましたが、それを見抜いたように、再び現れた責任者の方は言いました。

「今となっては、ISOなど不要ですな」


 環境ISOの審査員を前にして、それを言っては御仕舞いですが、審査は本番を終えていましたから、笑顔で答えます。

「お陰様で、環境ISO審査の初日、無事に終えることが出来ました」

 その時、責任者の方の口元が少しばかり歪みました。


 上見てる 部下の気持を 知らぬ上



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by tabigarasu-iso | 2018-09-23 10:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

環境ISO:2015本番開始

 2015915日に改訂された環境ISO:2015の移行期間は、2018914日をもって終了しました。今後は、移行ではなく通常の登録になりますが、環境ISO:2015に移行した成果は現れているでしょうか。


 環境ISO:2015は、これを導入した組織の意図した成果を達成するもの。意図した成果とは、利益を上げ続ける組織の目的の達成に向け、二酸化炭素排出量の削減など環境パフォーマンス向上、生産効率向上による省エネなど環境目標の達成、それに順守義務を満たすことです。


 3年間の移行審査を行う中で、意図した成果を上げている組織とそうでない組織に遭遇しましたが、意図した成果を上げている組織でも、間接部門の業務目標の達成手段に環境ISOが利用されていない場合が多数でした。


今後の審査では、間接部門の業務目標と環境目標の乖離に焦点を当て、それが経営責任者への要求事項を満たさないことから、遠慮なく指摘する審査が増えることでしょう。


これに対応するには、間接部門のリスク及び機会を環境目標に考慮する意識の変更が必要になります。例えば、人材育成が上手く行かないリスク、上手く行く機会を想定し、それぞれが引き起こす環境影響を考えてみましょう。


前者は生産効率が落ちて無駄なエネルギーの使用が増え、後者は生産効率が上がり省エネが進む。かように、人材育成の良否などは環境影響と関連することを認識して貰えば、間接部門で何を環境目標にすれば良いか明らかになる筈です。


雨の音 聞いても外に 僕は出る


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by tabigarasu-iso | 2018-09-15 12:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

悲しい審査の指摘

 審査員により、廃掃法の水銀を含む製品廃棄に関して、法規制登録簿に登録されていないことを、不適合とする場合、改善の機会とする場合、口頭で注意する場合とに分かれます。


また、廃棄物保管場所で水銀を含む製品の廃棄である表示がなされていない場合、不適合とする、改善の機会にする、口頭で注意する場合があり、同じ審査基準ながら指摘に温度差が生じるのは是正しなければなりません。


そこで、過去の好ましくない指摘事例を集め、審査員の指摘のレベルを合わせる教育研修が行われ、再発を防止することになります。原因は、法律違反は不適合とする判断基準を知り、組織の定めたことに適合していない場合も軽い不適合と知りながら、組織の顔色を伺い不適合としない所見の不徹底。


これでは、利害関係のない第三者による審査の意味がありません。従い、紹介したような法規制違反は、迷う必要はなく不適合にします。その上で、目標管理の優れた点を検証して、関係者のやるきを支援しましょう。


併せて、目標を達成する施策に相手も認める粗末な点があったなら、規格要求事項を満たさないとして、不適合を遠慮なく出す審査に徹底したいものですね。


良い審査 痒い所を 突く審査


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by tabigarasu-iso | 2018-09-14 15:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

内部監査の鑑

 これは、むかし昔の話です。ある組織のある場所で、環境ISOの内部監査の立会いを依頼された時のことでした。


そもそも、環境ISOでは外部の審査員が行う審査と内部の監査員が行う内部監査と言うものがありまして、どちらも基準と実態のギャップを検証するもの。


両者の違いと言えば、事情を知らない外部の人が行う審査と事情を詳しく知ることが可能な内部の人が行う監査の違いでしょうか。ここで、後者に事情を詳しく知ることが可能としたのは、可能であっても事情を詳しく調べない監査員が多いからです。


ところが、むかし昔に立ち会った組織の内部監査では、基準と実態のギャップを事細かに調査した上で、監査を受ける側が知らない情報まで提示し、不適合の判定を行うものですから、認めない訳には行きません。


それが1件ならともかく、両手の指の数では足りず、足の指まで借りる件数でしたから、指摘された側の顔色は青くなりました。数は多いものの、その原因は現場、現物、現実的な状況確認の欠落です。それが再発しない是正処置は、立会い者の立場からすれば難しくはありません。


しかしながら、渦中の人には是正処置が想像出来ていないようでした。渦から離れたところで、立会いの自分は是正策を考えていたものの、未だ紹介する機会を得られないままです。


近頃の内部監査の結果は、不適合なし、観察事項なし、改善の機会が数件もあれば良い方ですから、あの時の内部監査は、監査の鑑と言えるでしょう。


土砂降りに 悲鳴を上げる 靴の底



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by tabigarasu-iso | 2018-08-29 06:57 | ISOマネジメント | Comments(0)

手段を目的に

「審査員、あなたに訊ねます。目的を実現するのが手段ですが、その手段を目的にしてはいけないのでしょうか」

「いいえ」


「手段を目的にすることは、誰も禁止していません。目的を達成するための手段や方策を系統的に展開していく『系統図法』として、立派に認知されていますから」

「そうでしたか」


「そうは言っても、最終的に実現したい目的が手段のままであってはなりません。懸命に働いて、そのまま終わる人生も悪くはありませんが、御自分の夢を実現したいでしょ」

「そうですよね」


「最終目的は何でしょう」

「家族を幸せにすることです」

「その通りです。ところで、本日の目的は」

「失礼しました。審査中であること、すっかり忘れていました」


拗ねる猫 散歩に誘い 機嫌取り 


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by tabigarasu-iso | 2018-08-26 07:54 | ISOマネジメント | Comments(0)