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白髪の旅ガラス

沼津駅ソバ

 久し振りに舞い込んだ仕事を終え、御殿場線から東海道本線に乗り換える沼津駅の上りホームに上がった瞬間、どことなく懐かしい覚えのある甘い香りが空き腹に忍び込みます。

傍に好みの食堂がなく、選びようがないホテルのレストランかコンビニの弁当で我慢していた二日間でしたから、その匂いに誘われ、電車を待つ10分の間、駅ソバを掻き込むことにしました。

気温は26℃近く、背広が邪魔なレベルでしたが、温かいソバに油揚げとナルト、それに刻んだ生ネギの載ったキツネソバを頼みます。待つこと十秒、手際良く出されたソバは期待通り、完食まで3分と要りません。

滲み出た額の汗はハンカチで拭き、流れ落ちる鼻汁はテッシュペーパーで吸い取ります。これは、好みのものを食べた成果と言うものでしょう、誰かに話さずにいられません。


駅ソバよ 期待の味は 裏切らぬ



# by tabigarasu-iso | 2019-06-24 06:56 | 随筆 | Comments(0)

沖縄の終戦記念日

 こちらの呼ぶ声に反応しない相方が夢中に観ているのは、日本の首相の気持の抜けた挨拶のテレビ放映です。

「どうしたの」

「今、大切な場面なの」

「何が」

「沖縄の終戦記念日で、首相がスピーチしてるところ」

「野次が聞こえるね」

 これが国会の答弁中であれば、首相は話を止めて野次に反応するところですが、流石にそれはありません。淡々と作文を読み上げ、聴衆の反応を盛り上げようとする工夫も意欲もないようです。

 これでは、基地問題に揺れている同胞の気持を逆撫でするばかり。沖縄の終戦記念日ですから、外国の軍隊に占拠されたままの沖縄県民に寄り添う、心の籠ったスピーチを期待したいものです。


沖縄の 終戦記念 子は知らず

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# by tabigarasu-iso | 2019-06-23 19:17 | 随筆 | Comments(0)

新潟・山形地震

 どことなく船に乗っているような床の揺れに気付いたのは、贔屓の野球チームが何とか勝利して、勝ち越し打の選手がインタビューで話した画面を楽しんで暫くした後であったと思います。

 その時、直にテレビチャンネルをNHKに切り替えてみると、津波に注意するよう、危ない場所には決して近づかないよう、真剣な口調でアナウンサーが繰り返していました。

 相方は、二階で部屋の片付けをしていましたから、新潟で地震が発生したことを伝えれば、既にラジオで知っています。

「こちらでも起こるかもしれない」

「そうだね」

「備えて置きましょう」

「そうだね」

 翌朝、テレビニュースを観れば屋根瓦の落ちた家が何軒も映し出されていました。今後の余震にも注意が必要との解説は、余震の方が大きかった熊本地震のことを考えれば当然であり、崖下や急斜面の近くでは注意しなければなりません。


地の歪み 地震の後で 説明し


# by tabigarasu-iso | 2019-06-21 07:08 | 随筆 | Comments(0)

岩波

 大きな地震が新潟で起こり、出掛ける先は大丈夫であろうか心配します。もしも地震に遭遇したら何としようか考えながら、漸く辿り着いた御殿場線の岩波駅は、昨年と同じ様な場所が工事中でした。

 客を降ろしたばかりのタクシーに行く先を告げ、ホテルに着いたのは自宅を出てから三時間半。富士の裾野に張り付く工業地帯は、自動車産業の繁栄で活気があります。

ところが、自動車に乗って通勤する人が多い所為でしょうか、それともたまたま選んだホテルの場所が悪かったのでしょうか、周辺には飲食店が殆どありません。

仕方なく、ホテルの食堂で頼んだ生姜焼き定食は、焼き過ぎた肉は硬く、味噌汁は魚粉の匂いが強く、何とか麦酒で流し込みます。これなら、近くのコンビニで弁当を買った方が良かったと、悔やみながらも完食しました。


岩波の 削り取られた 川床に 富士の水流 見た思い

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# by tabigarasu-iso | 2019-06-20 07:36 | 随筆 | Comments(0)

平均気温上昇1.5℃まで

 産業革命以降、化石燃料を燃やし続けて、大気中に温室効果ガスを貯め続けた結果、このまま放って置くと今世紀末には産業革命当時に比べ平均気温が3℃上昇することは間違いないと多くの科学者に言われています。

 気温が上昇すれば、異常気象が当たり前になり、激しい干ばつ、豪雨域の拡大、氷河や北極氷原の溶解、世界の海面水位の上昇が発生し、生活環境が悪化するばかりか、農作物の不作により食料不足が加速し、増え続ける人の命を賄い切れなくなることは間違いありません。

そこで、産業革命当時に比べ平均気温上昇2℃が叫ばれて来ましたが、それでは不十分で2015年のパリ協定以降は平均気温上昇1.5℃まで抑えることが必要と言われるようになりました。

平均気温上昇2℃に抑えるには、基準年に比べ1.23%の温室効果ガスを削減しなければなりません。また、平均気温上昇2℃以下にするには、基準年に比べ2.5%の温室効果ガスを削減する必要があります。更に、平均気温上昇1.5℃以下にするには、基準年に比べ4.2%の温室効果ガスを削減する必要があります。

科学的な根拠に基づく温室効果ガス削減目標では、平均気温上昇1.5℃以下が求められており、持続可能な開発目標の観点からも、企業だけでなく市民も自主的な削減目標を設定しなければならない時代になりました。

では、2018年比4.2%の温室効果ガスを削減するにはどうしたら良いでしょう。電気、ガスの使用量を前年同月比で4.2%以上削減するよう、エアコンの利用時間の削減や設定温度の変更、それに風呂の利用からシャワーへの切り替え等を行い、両者の毎月使用量を監視し、削減していなければ策を見直すことです。


温暖化 誰もが出来る 対策は 窓開け団扇 カラスの行水

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# by tabigarasu-iso | 2019-06-19 15:34 | 随筆 | Comments(0)

 久し振りに訪れた久喜にある菖蒲園では、生憎の強風に大きな菖蒲の花が揺すられ辛そうでした。これが無風の日であれば、のびのびと広げた優雅な花弁を見せてくれたことでしょう。

 記念写真を撮り終えた帰路、往路で見付けた行列の出来ているラーメン屋の軒下には、未だ順番待ちの客が何人も並んでいました。さぞや美味い店に違いなかろう、次の機会には寄ってみようと、菖蒲の花より食べ物の話が優先します。

 振り返れば、春先の桜の花見も似たようなものでした。花見と言いながら、もっぱらの関心は、花見の後の酒やソバですから、菖蒲の花にも許して貰いたいものです。

 ところで、花や食べ物にも興味を示さない乳飲み子は、母親に抱かれて菖蒲園に行ったものの、何を記憶に残したことでしょうか。強い風に目を細めていましたから、ひょっとしたら何も見ていないかも知れませんね。


咲いた花 これが菖蒲と 風が吹き

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# by tabigarasu-iso | 2019-06-18 12:26 | 随筆 | Comments(0)

巨大な豚に睨まれ

 自分より大きな動物に睨まれたなら、誰でも恐怖を感じるものです。それが牛であれば振り下ろす曲がった角が恐ろしく、馬であれば蹴り上げた蹄が恐ろしい。

 熊やライオンには滅多に遭遇しませんが、静かに横臥していた巨大な豚が立ち上がり、こちらを見て突進しようと身構えた瞬間には、相方の言い分を想い出したものです。

「夢に出てうなされるような巨大な豚なの」

「見たことがないな」

「一度見せてあげたいわ」

「そうか、見せて貰うか」

 冗談で答えた筈でしたが、出掛ける用事がないなら、これから行こうと言うことになり、竹藪が残る田園風景を車で数分、独特の匂いを放つ豚舎に着きました。

 カラスが屋根に陣取り、豚の餌を狙っています。呑気にカメラを構える人など、恐れる様子がありません。豚舎の中には、想像を超えた巨大な豚が何匹も寛いでいましたが、大きな話し声で昼寝を邪魔されたようで、こちらに向かう肩には力が入っていました。


相方に 誘われ見たは 巨大豚

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# by tabigarasu-iso | 2019-06-17 16:00 | 随筆 | Comments(0)

塩梅が難しい

 玄関を入ると、梅の甘い強烈な香りが鼻を突きます。購入した青い梅の熟すまでと、娘が箱の中に保存して置いた青梅から放たれたものでした。

 嗅覚の王者である筈の猫は、縄張りを荒らす香りに反応して、天井を見上げ、何処かに居る筈の相手を探しています。それが梅とは知らず、諦めないところが猫らしい。

 梅のヘタを爪楊枝で取り除き、35度の焼酎で殺菌してからナイロン袋に入れ、そこに塩を入れて梅にまぶします。それが強過ぎると塩辛くなり、弱いと甘くなって長期保存が難しく、塩梅が難しいとはこのことでしょう。

 ナイロン袋に入れた梅は冷蔵庫に寝かせていますが、それから先のことは知りません。農家で育ちましたが、残念ながら梅干しや味噌の作り方は知らない翁です。


梅雨入りに 梅の香りは 箱を出る



# by tabigarasu-iso | 2019-06-16 23:00 | 随筆 | Comments(0)

冷酒

 汗を掻いた後は、水を飲んで血液中の水分の補給が大切です。それに、流出した塩分も補給しなければ、細胞の活動が旨く機能してくれません。

 こうして、肉体の健康管理を済ませてから、胃袋の要求に応えて良く冷えた麦酒を流しみます。二杯目も麦酒を選ぶか、それとも冷酒を選ぶかは、翌日の活動の内容に依り、休日の軽い内容であれば冷酒を選び、平日の重い内容であれば麦酒が宜しい。

 重い内容を忘れ、冷酒を沢山頂いた翌日の重い仕事は、持ち上げようにも腰に力が入らず、それこそ腰砕けの仕事になり、呆れた顧客の笑を買うことになります。

 ですから、冷酒を十分に楽しみたい場合は、休日の軽い仕事の前に限ることにしましょう。平らな大き目の盃になみなみと冷酒を注ぎ、ゆっくり傾ける際の悦びは、グラスから大量に流し込む麦酒では決して味わえません。


梅雨空に サボテンの花 誰を待つ

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# by tabigarasu-iso | 2019-06-14 15:00 | 随筆 | Comments(0)

晴れの国だから

 午後一番、誰もが睡魔に誘われて断れない時間帯に突入すると、それと知った講師の声は受講生の眠りを邪魔しないように小さくなって、広い会議室の隅で申し訳なさそう聞こえます。

そこへ遠慮なく押し入ったのは、人の世の情けと言う大切な思い遣りを知らない土砂降り雨でした。眠気を覚まされた受講生は、文句を言いたくても、相手が相手だけに何も言えないようです。

 わずかな時間でしたが、大量の雨を一気に落として身軽になった岡山の空は、今ではすっかり晴れ渡り、先程の猛烈な夕立が嘘のようでした。けれど、汚れを洗い流して貰い綺麗になった歩道だけは、しっかりと覚えているようです。

「自分の行いが良い所為か、晴れましたね」

 そう講師が告げれば、受付の真面目な方が答えました。

「自分は土砂降りに巻き込まれました」

 その方の顔は笑っていましたが、衣服は未だ泣いているようです。


マスカット 包む砂糖に ありがとう

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# by tabigarasu-iso | 2019-06-13 10:38 | 随筆 | Comments(0)