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白髪の旅ガラス

2018年 02月 09日 ( 1 )

ウドの天ぷら腹の中

 山奥で生まれ育った人間には、春の訪れを教えてくれるウドやタラの芽が店先に並べば、値札も見ずに通り過ごすことなどできない。


 それが多少高くても、山の崩れそうな斜面に下り立ち命懸けで採取したウドの記憶を想い出せば、買い物かごに入れてしまう。


 また、鬼の金棒のような針だらけの枝先に吹き出たタラの芽を長い鎌の先で横に倒し、芽だけ頂く。鎌を枝から離せば、曲げられた枝は元に戻る。棘の先に山の神がくれた御馳走は、天ぷらにすれば旨味を更に増す。


 その時期になれば、故郷の山を訪れたいものである。そんなタラの芽が店先に並べば、ウドと同様と言いたいが、余りにもひ弱な芽に同情して決して買わない。


 今夜の食卓には、ウドの天ぷらが登場する。

「先に頂くよ」

「どうぞ」

 遠慮なく頂き、気が付けば相方の分も腹の中。


山菜の 味は想い出 中にあり


by tabigarasu-iso | 2018-02-09 07:30 | 随筆 | Comments(0)