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白髪の旅ガラス

2016年 03月 29日 ( 1 )

春雷

 都内では桜の花が咲き始め、春先に一メートルばかり横へ移動した我が庭の桃も、移植された疲れも見せないで白い花を着けています。
 今年の夏には、幾つも大きな桃を実らせるかも知れません。
「支えが必要になるな」
「そうね。紙の袋も被せなくちゃ」
 捕らぬ狸の皮算用とは、このことでしょう。
 日が暮れ、黒雲に覆われた空は妖しくなりました。それから間もなく、外は騒がしくなります。
「強い雨だが、桃の花は大丈夫かな」
「あら、天気予報の通りね」
 その時、轟く雷に驚いたのはチビトラ猫、背もたれの上に寝そべり目は閉じていても、耳だけは忙しく左右に動かし休みません。
「大丈夫、お前のヘソなど盗りはしないさ」
 それでも落ち着かないのか、食卓の下に隠れヘソが見えないよう腹這いに。

           春雷に 花は驚き 散り掛けて
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by tabigarasu-iso | 2016-03-29 09:00 | 小説 | Comments(0)