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白髪の旅ガラス

2015年 10月 04日 ( 1 )

辻堂

 第一次産業から第三次産業に仕事を変えて刺身や鮨など味わえるようになったのは、辻堂で暮らしていた方のお蔭です。その方は、見掛けこそ怖い方ですが、味方には支援を惜しまない方でした。

 こう過去形にするのも、今を詳しく知らない関係になったからであります。時たま届く風の便りによれば、七十四歳を越して仕事も恋愛も現役でのようですから邪魔してはいけません。

 その方が自宅に招待してくれた際に立ち寄ったのは、辻堂の駅を降りて直ぐ傍にあった寿司屋でした。既に御茶ノ水で酒は十分に飲み、小腹を満たすつもりで立ち寄ったのですが、カウンターに並ぶネタの魅力には勝てなかったのです。

 魚、貝、それに昔話も飛び出し、自分は醒めた酔いが再び戻りましたが、その方は未だ酔っていない。次々に酒と肴を注文し、漸く勘定を済ませた寿司屋から、国道を無事の渡り、その方の自宅に辿り着いたのは真夜中でした。


 辻堂の 駅から歩いて 吾亦紅
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by tabigarasu-iso | 2015-10-04 12:09 | 小説 | Comments(0)