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白髪の旅ガラス

2014年 06月 21日 ( 1 )

率先垂範

「レジ袋は必要ですか?」
「結構です」
 それを見守りながら、箸は胸ポケットに差し込めば良いとして、缶ビールとパンは手に持ったまま歩くのだろうと思いました。

 ところが、何やら胸ポケットから取り出し大きく広げて袋にすると、購入した品を慣れた手付きで難なく入れたのです。
「マイバックでしたか」
「ええ、いつも家のかみさんが持たせてくるのです」
「はあ、環境に熱心な奥さんですね」
「いやいや、レジ袋を下げるのは、恰好が悪いと言うのですよ」
「はあ」

 こうした遣り取りは、二人合わせて百三十才を超える環境ISO審査員のこと。確かに、六十才過ぎた男が二人揃ってレジ袋を振ら下げて歩くのは、見た目に良くはありません。それを承知で、夫の出張時にマイバックを用意した奥さんの配慮には頭が下がります。

「どんな理由があるにしても、旅先でのマイバックは素晴らしいことです」
「いやいや、そんな大それたことではありません。僕のことを愛しているからですよ」
 何と応えて良いやら迷った挙句、率先垂範の先輩に頭を下げる旅先でありました。

 そば屋でね カツ丼頼む 通の顔
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by tabigarasu-iso | 2014-06-21 00:00 | 小説 | Comments(0)