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白髪の旅ガラス

2014年 06月 05日 ( 1 )

心に響く手作りパン

 最近の店頭に並ぶパンは、驚くほど安くて美味いものが多く、つい買い過ぎて冷蔵庫の奥で固くしては後悔します。
「ところで、先日のフランスパンは」
「あなたが好きだから、食べてはいませんよ」
 そう言って持ってきたパンは、もはや歯が立たないほど硬くなっていました。

 それでも日が経てば、失敗した時のことを忘れ、店先に漂う香ばしい匂いに惹かれて買い物籠に入れます。
「今度は、勿体ないことをしないでね」
「分かっています」
 それからは、朝も昼も夜もパンのことばかりが頭を占めて、次第にパンから遠ざかることに。

 先日、手作りパンを分けて貰いました。それこそ、粉から練って、イースト菌の力を借りて、あれこれ混ぜて、気持ちを込めて焼いたパンです。
「おい、温かいぞ。それに柔らかくて、ほんのり甘くて、美味いパンだな」
「そうでしょ。けれど、残念ながらもうありません」

 もう一口食べたい。手作りパンには、そんな魅力がありました。
「また頼んでくれ」
「あら、珍しいわね」
「そうさ、大量生産のパンにはないものがある」
 
 手作りは 心に響く 味がする
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by tabigarasu-iso | 2014-06-05 00:00 | 小説 | Comments(0)