人気ブログランキング |

ブログトップ

白髪の旅ガラス

2014年 02月 22日 ( 1 )

後釜

 近場のボスとして君臨していた雄ブチ猫は、情報網の広いパーマ屋さんの話によれば車に轢かれて命を落としたそうだ。可哀想な最後であったが、縄張りを甘い鳴き声で歩くと、それを聞き付けた子猫や雌猫は怯え、住宅街の評判は余り良くなかったようである。

 ボスの居なくなった住宅街だが、やがて後釜が登場することであろう。それまでは、威張って鳴く猫の居ない静かな夜が続いていた。時に、若い雄の黒猫がボスの真似をして鳴いてみるが、腹の底から唸る技を知らない所為か迫力がない。

 他の猫もドングリの背比べで、ボスになりそうな猫は存在せず、争いのない猫の世界が続いている。時に、餌を取り合う小競り合いはあるものの、互いに血を流して争う人の世界とは大違いだ。

 先日、これまで見たことのない雄ブチ猫が現れ、仲良く餌を分け合っていた猫達を追い払い、悠然と餌を喰う場面に遭遇する。一見、かつてのボスと瓜二つだが、良く見れば脚が極端に短い。木に上ることは難しく、ボスの後釜にはなれないことであろう。

 大雪に 梅の枝先 折れて泣く
by tabigarasu-iso | 2014-02-22 00:00 | 随筆 | Comments(0)