人気ブログランキング |

ブログトップ

白髪の旅ガラス

2014年 01月 01日 ( 1 )

黒猫

 全身黒毛に覆われた猫は、暗い所に座って居れば闇にまみれて存在が判らない。ネズミを捕獲する夜の仕事には打って付けだが、餌をあげようとして探す側からしてみれば姿が見えないので困る。

 それでも、仲間同士では互いに見えるようだ。何処からともなく闇の中から連れ添って現れ、一匹の人に慣れた黒猫が家に入り暫く人の生活を眺めた後で外に出ると、もう一匹の人に鳴れない黒猫は外で待っていたようで闇から忽然と現れる。

 そこで、人の見ている前で身体を寄り添い、気持を声にして甘く鳴く。そればかりか、一回り身体の小さな黒猫は相手の体毛を舐めてあげる。親猫が子猫の身体を舐める姿は見慣れているが、立派な玉を持つ雄猫が同じ雄猫に対してそうするのは珍しい。

 想像してみるに、小さい頃に大きな雄猫から守ってくれた恩を忘れないのであろう。その名は、大きい方はただのクロ、小さい方はチビクロと人が勝手に付けた。そのチビクロが大きくなって、今では二匹が同じ大きさになったから、もはや見分けが付かない。二匹が闇に入れば、それこそ闇に溶けて消えたようだ。

 ヤモリ喰い 大きくなった 猫は黒
by tabigarasu-iso | 2014-01-01 11:11 | 随筆 | Comments(0)