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白髪の旅ガラス

2011年 08月 31日 ( 2 )

愉快な母親

 ある所に愉快な母親が居ます。むかしむかしの話ではありませんから、詳しい個人情報は省きまして、その内容を忘れないうちに紹介しましょう。

 その息子は、働きながら大学に通う手の掛からない好青年でした。そんな息子に親らしく、父親がまとまった授業料を用意して、息子に渡すよう母親に預けたのですが。

 暫くして、父親は息子に電話を入れます。
「お母さんの行方を知っているかい」
 自分も家を留守にする父親でしたから、それとなくアパート暮らしの息子に尋ねたようでした。それから数日後、大きな旅行カバンを引き、母親が息子の元を訪ねて来ます。
「あなた、お父さんにお礼の電話を掛けなさい」
 茫然とする息子に対し、母親は当然のことのように説明しました。
「あなたのお父さん、あなたに学費を用意してくれたの。それで旅行した帰りですから、貰ったあなたが礼を言わなければ変でしょ」

 息子の授業料で海外旅行しながら、貰ったものの一銭も使わない息子に礼を言わせたのです。何となく筋が通っているようで、良く考えればどこか筋の外れた話でしょう。

去る前に 残暑頼むと スイカ言い
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by tabigarasu-iso | 2011-08-31 12:01 | 小説 | Comments(1)

秋風に吹かれ

 このところの夜の涼しさは安眠を誘う。
 朝方に跳ね除けた夏布団を足元で探し。
 芯の温まるまで床の中で身体を丸める。
 覚悟を決めたところで寝巻きを脱いだ。
 それから外出支度を整えるまでは早い。
 強く輝き始めた太陽の下で秋風が吹く。
 出遅れた蝉も鳴き始めて直ぐに止めた。
 バス待つ間も吹く風に行く先を聞けば。
 冷気に押されて南国へと言ったような。

風受けて 天空に舞う 赤トンボ
by tabigarasu-iso | 2011-08-31 00:15 | | Comments(0)