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白髪の旅ガラス

2009年 07月 28日 ( 1 )

猫の首に鈴を付ける子鼠

 天敵の猫に鈴を付ければ、その音で鼠はいち早く逃げることができます。その役を誰が引き受けるか、鼠の親子で話し合いました。
「これは父の役割である」
 大きな鈴でなければ、遠くから聞こえず効果がありません。鈴が大きくなれば、重たくなります。それを、猫の寝ている間に付けるのですから、父親鼠は死を覚悟しなければなりません。

「それはなりません。子供達のためには、強いお父さんが必要です」
 猫に気付かれた事態を想定し、母親鼠が毅然と言います。すると、子鼠達は反対しました。
「優しいお母さんが、猫に喰われたら嫌だ」
 さあ、どうしたものか、親鼠は考え込んでしまいます。

 その時、一番小さな子鼠が言いました。
「僕が猫さんと交渉してくるよ」
 いつも兄弟に苛められ、泣いてばかりでしたから、皆が驚きです。
「あのドラ猫と、どんな交渉をする」
 父鼠が呆れて聞きました。

 小さな子鼠は、自分で大きな鈴を引いて猫の前に進み、こんな風に説明する。
「ドラ猫さん、僕を食べてください。でも、こんな小さな鼠より、大きな鼠の方が良いでしょう。僕が家族を連れて来ますから、パクリと食べてください。それには、この鈴を首に付け、しばらく待って貰えますか」

 何とも大胆な策ですから、心配した父鼠が聞きました。
「旨く行かなかったらどうする」
「どうしようもありません。僕が食べられるだけですから」
 そして後日、捨て身の策はどうなりましたことやら。
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世の中に 鈴を付けたい 人多く
by tabigarasu-iso | 2009-07-28 21:20 | 小説 | Comments(0)