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白髪の旅ガラス

2008年 12月 28日 ( 1 )

永遠の命

 百歳を目前にして、他界した人が居た。その細胞は、子供、孫、ひ孫へと引き継がれ、今でも生きているが、何度となく細胞分裂を繰り返しているため、承知しているその人の姿は、誰にも認めることは出来ない。

 こうして、太古からの細胞は何世代にも亘って繋がり続け、今後も子孫が絶滅しない限り生き続ける。何と長い細胞の命であろうか。それに思いを載せることが出来れば、永遠の命を持つ人間が誕生することになる。

 その人が、百年近く使い続け疲れた細胞を脱ぎ捨て、新しい細胞に着替えたら、嬉しいことは間違いないが、それ以外の感情も湧きそうだ。その人の後ろには爺さんが立ち、その後ろには、そのまた爺さんが立ち並び、終わりの無い爺さんの列になる。

 その横には、婆さんの列も並ぶから、若い世代は爺さんと婆さんの世話で寝る暇も無くなりそうだ。それに、爺さんも婆さんも暇を持て余しているから、世間話や昔話の相手をさせられ、子供たちが自由に遊ぶことも出来なくなる。

 どうやら、細胞で命が繋がり続けることは良いけれど、その人の思いは、その人限りで終わった方が良さそうだ。次世代の人が、その人を想い出す位で丁度良い。己の細胞は、祖先からの借り物で断りようもないが、自分の存在を示すのも閉じるのも、自分だけの思いで決めて良いだろう。

                 年末に 生暖かい 風が吹き
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by tabigarasu-iso | 2008-12-28 00:21 | 随筆 | Comments(0)