人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ブログトップ

白髪の旅ガラス

生物模倣

 生物の形態や機能を模倣して、科学技術に応用する手法を、バイオミミクリーと言う。バイオは生物で、ミミクリーは模倣だから、直訳すれば生物模倣となる。この手法、古くから科学技術に利用されており、生物模倣の歴史が科学技術の発展にあると言えそうだ。

 良く利用する新型の新幹線の先端部分は、川蝉をヒントに設計したそうで、トンネルに入る際の騒音緩和が可能になっている。そのヒント、川蝉が猛烈な勢いで水中に飛び込み、小魚を捕らえる様子を見ていた方が、飛び込んだ際に波が余り立たないことを、不思議に思ったことからであろう。

 川蝉にすれば当たり前の行動を、不思議に思うことは多くの人ができるが、何故水面がそれほど波立たないのか考え抜き、それを新幹線の頭に応用できる人は少ない。生物多様性の観点から、種の保存が必要な川蝉だが、保存することばかり考えている人は、くちばしと頭の構造が優れたものであることなど、疑問を持たないから思い付くこともなかろう。

 ミツバチの巣をヒントにしたハニカム構造、鳥の翼をヒントにした飛行機など、誰もがしる生物模倣の古典だが、身近な生物に模倣することが、数多く潜んでいることを教えてくれる。どこでも自由に動き回るアリ、葉の上で日光浴するトカゲ、それに無邪気に遊ぶ犬や猫など、不思議に思うことから着眼し、良い点を模倣したいものだ。
生物模倣_d0052263_12324530.jpg


母の日を 旗日にしない 訳を聞き
by tabigarasu-iso | 2009-05-11 12:33 | 随筆 | Comments(0)