ブログトップ

白髪の旅ガラス

途中下車

 姫路駅在来線の中央改札口を出たのは、梅雨明けの太陽が地面を焦がし、アスファルトの臭いが鼻を突く、真夏日の夕刻であった。一年前より陽に焼けたものの、見間違うことの無い端正な顔を認め、コンサルは人目も憚らずに手を挙げた。

 二人の出会いは、実に奇遇であった。熊本の営業を終え、帰路の機内で座席番号を確かめたその時、先程までコンサル内容を問い質していた顔が振り向いた。作業着から背広姿に変わり、首から下だけでは誰だか判らなかったが、真剣に話しかけた相手の顔は忘れなかった。

 その縁がコンサルに繋がり、今宵は途中下車して酒を交わすことになった。積もる話に終わりは無くて、喉を潤す地酒を入れたグラスの静止する間も無かった。何杯干したか忘れたが、二時間を越したところで、互いに明日を想い出して店を出た。

 再び新幹線に乗り、いつものホテルに入ったコンサルは、貰ったウイスキーを机の上に置いて眺めながら、いつまでも改札の外で頭を下げる相手の顔を想い出していた。時が経つに連れ、旨みが増す酒が目の前にあり、親しく語れる人が増える。そんな感激を噛み締めている間に転寝し、本格的に寝ようとした時には、既に起床の時刻となっていた。

            夕立の 止んで蒸し風呂 疲れ出し
d0052263_22223563.jpg

              溶け出した氷河  撮影By省悟
[PR]
by tabigarasu-iso | 2007-07-26 22:24 | 随筆 | Comments(0)