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白髪の旅ガラス

旨いがまずい

 東京駅の直近く、大通りから数歩入った路地に、てんぷらが旨いと言う、店内が二坪にも満たない食堂がある。その噂を確かめたくて、食道楽の仲間が席を確保に急ぎ足、暖簾を潜り女店員に尋ねた。

「三人ですが、空いていますか?」
 狭いながらも、何とか席は確保できそうである。ところが、思い掛けない方向に話が進んでしまった。
「女性の方は、今の時間は入れません」
 顔を見合わせた食道楽の仲間は、迷わず店を替える。仲間の一人を見捨て、食欲だけを満たす訳にはいかない。

 女性が入れない場所として、相撲の土俵があるが、食事に入れない場所があるとは聞いたことが無く、拒絶された女性は、別の店で仲間と食事を済ませた後で、腹の立つ店に引き返し、先程の女店員に訳を聞いた。

「女性の方は食事に時間が掛かるので、混み合う時間帯は遠慮して貰うのです」
 これで納得できる訳が無い。飯を喰うのが早いか遅いか、男女の差である筈が無く、それならそうと、食事時間の制限を店先に張り出せば良かろう。

 そこで、こう見えても私は男ですとさりげなく店に入ったら、どんな応対をするのであろうか、次に試みることにしたそうな。それにしても客商売、旨い噂より拙い噂の方が伝わり易く、気を付けなければいけません。

            叱ろうか 隣で駄々を こねる子よ
by tabigarasu-iso | 2007-07-17 23:04 | 随筆 | Comments(0)