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白髪の旅ガラス

濁流

 新幹線を足止めにする大雨が降る。窓の無い研修室で、セミナー講師に成り切っていれば、雷が鳴ろうが雨が横殴りに降ろうが、受講された方の顔色を読みながら、説明を早めたり遅くしたり、それでも苦渋に満ちた顔があれば、説明の方法を変えることに気を遣い、外が稀な大雨であったことなど、知る術もない。

 修了試験を終えて帰り支度になれば、仕事を終えた安堵感が、世間話を誘引する。
「雨が降って来ない間に帰ります。コロ付きの鞄を引き摺りながら、背広を雨に濡らすカラスは、傍から見れば哀れに映るでしょう」
 研修担当の方は、返事に困った様子を隠せない。
「いやぁ、そうですね。そう、・・・・窓が無い部屋でしたね。実は、先程まで大変な大雨で、この窓が破れそうでした」
 廊下の窓を指しながら、案内の方は甲高い声で笑った。

 帰路の新幹線が次々に横断する小さな川や大きな川には、川幅一杯の濁流が怒ったままである。山間部に降った雨が引かない内に、もう一度大雨になれば、今でも堤防を越しそうな濁流だから、水田を瞬く間に飲み込み、住宅地まで押し寄せ、それを流し去ろうとすることだろう。

 その中で研修が開催されていたら、知らないでは済まなかったに違いない。侵入する濁流で講義は中断し、皆で非難を始めていたことであろう。その際、講義の中で説明した緊急事態の対応が、手順通り実施されることを望みたい。

              濁流に 飲まれて喘ぐ ボトル在り
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by tabigarasu-iso | 2007-07-15 00:18 | セミナーサービス | Comments(0)