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白髪の旅ガラス

今日も暮れ行く

 定刻にコンサルを終え、米原駅の新幹線ホームで、ヨモギそばに舌鼓を打つ。暮れ掛けた陽にも照らされ、脂汗の浮いた額に、新たな汗の粒が吹き出た。頬を伝わり流れ落ちる汗も苦にせず、ヨモギが練り込められたそばを啜り終え、汁も残さず吸い尽くす。

 先程まで、多くの視線を浴びて話し続けたことが遠い昔話のように、誰の視線を受けることも、また誰かに説明することからも開放され、コンサルはそばを喰うことに専念した。水を入れてくれた見ず知らずの客に礼を述べ、ハンカチで額の汗を拭きながらホームで新幹線の到着を待つ。

 ふと空を見上げれば、構内を照らす照明で気が付かなかったが、既に陽は暮れていた。その時、何処からともなく聞こえる、今日も暮れ行く異国の丘に♪というメロディ。戦後生まれのコンサルだが、幼い頃の想い出が蘇る懐かしい調べであった。

 その源を探してみたが、通過する列車音が轟くばかりである。それを歌うような人も近くには居ない。どうやら、当人の耳にだけ届いた幻聴のようである。それと知ったコンサルは、次の列車が通過する際、その節を真似て大声で歌った。
「今日も暮れ行く♪ コンサル終えて♪ 声は嗄れよが♪ 意気高く♪ 明日また異国♪ 終わりなき旅♪ これが定めの♪ 生き様よ♪ どうせ行くなら♪ いつまでも♪ あなた要らぬと♪ 言われるまでさ♪」
 既に列車の騒音は消えていたが、今更途中で止められない。
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息継ぎに 顔出す金魚 猫狙い
by tabigarasu-iso | 2007-06-02 23:15 | コンサルサービス | Comments(0)