2007年 01月 08日
ふいに吹かれて
田舎育ちの人間でもこの有様ですから、良く調べもしないうちに、自然から離れて暮らすことの多い若い人を前にしても、物知り顔に尋ねる訳にもいきません。そこで、カブの若い葉がスズナ、ダイコンのそれがスズシロまで調べがついたものの、残る二種はどうにも判らない。従い、責任持てる範囲で尋ねるなら、春の五草を御存知かになりましょう。
運が良ければ、身近な野原で、その幾つかと出会えますが、突風の吹き荒れる時には、油断なりません。言葉の数が少ない友と春の五草を探し、土手の端を歩いている時のことです。急変する風向きに注意しなさいと、友に声を掛けようとしましたが、その姿が突然見えなくなりました。
横風で、土手の下に追い落とされながら歩み続ける友の顔は、年老いて白髪が増えた所為か、平然としながらも、狐に騙された道化師に似ています。すぐ脇には、悪臭の漂うドブ川があり、もう少し勢い良く飛ばされていれば、その中に落ちていたかもしれません。その片隅には、汚水を恐れない天然のセリが葉の色艶も良く、人に摘まれる恐れも無くて、豊かに群れておりました。
突風に 負けず花咲く 水仙め