2006年 09月 20日
秋の七草
それを承知で、今の世代に秋の七草を問う、意地悪な中年が居りまして。本人の馴染みの無い草もありながら、習い覚えた種を確かめる悪い趣味は、なかなか抜けそうにありません。
『萩』とは、近くにありそうで意外とない草。
『ススキ』は、量は少ないが散歩途中でも会える草。
『桔梗』とは、高原に出向かないと平地では容易にお目にかかれない花。
『撫子』は、どんな姿か確かめたい花。
『女郎花』とは、誰が名を付けたか疑ってみたい花。
『藤袴』は、文字から想像の出来ない花。
『葛』とは、誰もが繁殖力に呆れながらデンプンに舌鼓を打つ草。
これがその男の知る秋の七草の実態でして、想像の域を出ない草が半数以上ですから、若い方が知っている数は、更に少ないことでしょう。これも、自然から離れて暮らす生活の変化で、仕方のないことでしょうが、生きる力強さを徐々に失い、一度、自然が猛威を振るえば、簡単に薙ぎ倒されてしまう、脆さを感じます。
野に遊び、嫌がるトンボの眼を回し、吸い込まれそうな高い空を見上げ、虫の音に起こされるまで時を忘れる、そんな野生の動物に一時でも戻りませんか。何も、遠くに出向く必要などありません。開発を免れた隣の空き地に、地位や年齢それに人間であることを忘れ、愛犬と一緒に寝転んでみれば、土の臭いに野生が一瞬蘇ることでしょう。
虫の音も 一つ二つの 頃が良い