2019年 09月 18日
法師蝉
猛暑の日々も過ぎ、凌ぎやすくなった朝方のこと、庭の主となった枇杷の木の方から、鳴りを潜めていた蝉の声が聞こえます。
「ツクツクホーシ、ツクツクホーシ、ツクツクホーシ」
声の主は何処に居るのか、裸眼で探してみましたが見えません。それでも懸命に焦点を絞ってみれば、翅の透明な蝉が木肌に貼りついているのが見えました。
『まだまだ、裸眼も捨てたものじゃない』
少しばかり自信を持たせて貰ったところで、ズームの付いたカメラを取りに行き、拡大してみれば裸眼の比ではありません。
『やはり、餅は餅屋だ』
何かを悟ったように鳴く蝉の透き通った翅の美しいこと、感動の余り手振れのないよう無の境地でシャッターボタンを押します。
『もう秋ですよ』
つくつく法師に教えて貰いました。
読経を 聞かせてくれる 法師蝉