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白髪の旅ガラス

鳴かないアブラ蝉

 目を凝らして見れば、枇杷の木にアブラ蝉が三匹も貼り付いています。木肌と同じ色ですから、動かない限り鳥には気付かれることはありません。

それにしても、雌のアブラ蝉ばかりが集まり何をしているのでしょう。もしかして、どこからか舞い込む雄のアブラ蝉を待っている、そんな筈はありません。

昔から、雌蝉を呼ぶのは雄蝉の鳴き声です。雌が雄を呼びたくても、雌蝉には鳴く機能がありません。それに、役目を果たした雄蝉は短い一生を終え、地面に亡骸を見せています。

すると、残った雌のアブラ蝉の役目は子孫を遺す場所探しだけ。枇杷の木の周辺から這い出た記憶を忘れず、同じ場所に卵を産み落とす。枇杷の木から這い降り、土壌に産卵するのは夜のことでしょう。


鳴かぬ蝉 群れて窺う 降りる時



by tabigarasu-iso | 2019-09-04 17:25 | 随筆 | Comments(0)