2019年 09月 03日
オニヤンマに指を咬まれ
その時は平凡のようで、振り返ってみると珍しいことが日常生活にはあるものです。それは、半月遅らせて訪問した田舎で眠る親族の墓参りでのことでした。
墓石を清めようとして、水を汲みに行った先の蛇口の下には、体長10㎝を楽に超すオニヤンマ、排水溝の上で水を求めて息絶えたのか静止したままです。
気の毒に思い、長い翅を指先で摘まんで持ち上がてみました。すると、オニヤンマは動き出し、大きな顎で指を咬みます。その力、とてもトンボとは思えない。
そのままにして置けば、指の皮を破られそうです。負け惜しみながら、オニヤンマに言いました。
「好きな所へ行きなさい」
翅が自由になったオニヤンマは、墓石の上を軽々と飛翔して、振り向いて行くかと思えば期待外れ、一直線に去って行きます。その先は、遅れた墓参りを待っていた親の暮らす世界かも知れません。
待ち疲れ 居眠り親は オニヤンマ