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白髪の旅ガラス

オニヤンマに指を咬まれ

 その時は平凡のようで、振り返ってみると珍しいことが日常生活にはあるものです。それは、半月遅らせて訪問した田舎で眠る親族の墓参りでのことでした。

 墓石を清めようとして、水を汲みに行った先の蛇口の下には、体長10㎝を楽に超すオニヤンマ、排水溝の上で水を求めて息絶えたのか静止したままです。

 気の毒に思い、長い翅を指先で摘まんで持ち上がてみました。すると、オニヤンマは動き出し、大きな顎で指を咬みます。その力、とてもトンボとは思えない。

 そのままにして置けば、指の皮を破られそうです。負け惜しみながら、オニヤンマに言いました。

「好きな所へ行きなさい」

 翅が自由になったオニヤンマは、墓石の上を軽々と飛翔して、振り向いて行くかと思えば期待外れ、一直線に去って行きます。その先は、遅れた墓参りを待っていた親の暮らす世界かも知れません。


待ち疲れ 居眠り親は オニヤンマ

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by tabigarasu-iso | 2019-09-03 12:13 | 随筆 | Comments(0)