2019年 09月 02日
リスク及び機会の取組み不明
環境ISO:2004規格まで、運用管理の対象は主に著しい環境側面と法規制でした。有害な環境影響を引き起こす著しい環境側面の低減管理には、運用基準を明確にした手順書の整備が必要とされ、関連の請負業者や供給者には著しい環境側面の低減管理の要望を伝達し、法規制については要求事項を満たす運用管理が要求されていましたが。
環境ISO:2015規格になって、運用管理の対象にリスク及び機会が追加されたものの、審査で説明を求めても、明快な説明を聞くことは殆どありません。では、その説明がマニュアルにあるかと言えば、リスク及び機会をどう取り組むのか、記載のない組織が多数のようです。
これはどうしたことでしょうか。リスク及び機会が著しい環境側面と法規制に起因するものだけなら、それでも問題はありません。しかし、リスク及び機会は内外の課題や利害関係者との約束にも関係しますから、やはりリスク及び機会の取組みの説明は必要です。
リスク及び機会の取組みの理解が不十分の場合、審査員は規格要求事項を質問するだけでは意味がなく、組織の方が分かるように説明しなければ、組織の方は対応することが出来ません。それには、話すだけでなく白板を利用し書きながら説明すると良いようです。
組織の決定した内外の課題と組織が利害関係者と約束した内容を書き、それが決定したリスク及び機会とどう関連するのか組織の方に質問し、その答えを白板に書いてから、リスク及び機会の取組みを尋ねましょう。
「人材育成が叶わないと製品不良増加のリスクありとのことですが、人材育成はどのように実行されていますか」
「それは各部署で人材育成計画を立て、必要とされる能力を明らかにした上で指導しています」
「なるほど、良く分かりました。それはリスク及び機会の取組みの一例ですね。他のリスク及び機会について、誰でも説明が可能ですか」
「それは難しい」
「将来の引継ぎを考えれば、リスク及び機会の取組みの文書化を検討されては如何ですか」
「そうですね。それにしてもかように詳しく説明してくださる審査、もう少し早く受けたかった」
赤トンボ 家の池にも 来ておくれ