2019年 02月 07日
異動者のEMS
複数の拠点を持つ組織では、他の拠点に異動する可能性のある季節が近づいて来ました。異動した先で環境ISOを導入している場合、これまで環境マネジメントシステム(EMS)に関りを持っていなかった方は、早急にEMSを理解する必要に迫られることでしょう。
まず、異動した先のEMSの狙いを確認する必要があります。環境ISOの審査を受けている拠点であるなら、EMSで管理した結果の向上(二酸化炭素の削減等)、順守義務を満たすこと、それに環境目標の達成がEMSの狙いでなくてはなりませんから、それと自分の業務の関係を上司や事務局に確認しなければなりません。
また、自部署の環境目標は自部署の業務目標と整合していることが必要です。整合していない場合、環境目標を設定するプロセスの何処に問題あるのか紹介しましょう。
1)業務内容から環境影響の原因になる環境的な側面の抽出において、業務内容に関係する環境的な側面が抽出されていないことが原因。
2)自部署が守る順守義務の特定において、法規制の特定はされていても、利害関係者との約束が特定されていないことが原因。
3)内外の課題、利害関係者との約束、環境的な側面、順守義務に関わるリスク及び機会を考慮していないことが原因。
従い、環境的な側面、順守義務、利害関係者との約束、内外の課題、リスク及び機会などの意味を理解することが必要です。特に、管理職で異動する方の場合、自分の部下は環境ISOの教育を何度も受け知っている内容ですから、部下に聞くのが宜しい。けれど、それが出来ない管理職の方にキーワードを紹介しましょう。
環境的な側面;環境に影響を与える原因で環境側面と言う。これには、自分で増減を管理出来るもの(電気の使用量や廃棄物の発生量など)と、他の人や組織に依頼や要望を出して増減を管理して貰うもの(有害物質の不使用や梱包材の不使用など)がある。特に、自部署の業務内容を反映させる環境側面が抽出されていないと、環境目標にならず、業務目標との乖離が進む。
利害関係者との約束;仕様書や見積書などに約束した内容を法規制と同等に捉え、それを守ること。一見、環境ではなく品質問題に見えるが、約束を守れない場合、組織の存続が危うい脅威となり、約束を守り続けることで組織の存続の機会になり得る。組織が消滅した場合の設備廃棄等による環境影響は大きい。まずは、自部署が利害関係者と約束した内容把握が必須になる。
内外の課題;自部署に関わる内外の課題を、人、物、資金の観点から把握し、課題が解決した場合、解決しない場合のシナリオを想定すること。これは管理職の仕事であり、これからリスク及び機会を決定し、環境目標にするか、日常管理にすることで、課題を解決する仕組みになり得る。
かように、異動された方は、自部署で優先管理する環境側面、順守する法規制と約束事項、内外課題、これらから想定されるリスク及び機会を把握すれば、これを目標管理にするか、日常管理にするか、それがEMSの内容であることを理解頂ける筈です。
藻から出て 泳ぎ始める 群メダカ