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白髪の旅ガラス

一坪庭のモニタリング

 家の中で昼寝に飽きた僕は、休憩に降りて来た主人に猫撫で声を出します。

「ニャアーン(散歩に連れてって)

「そうか、散歩に行きたいか」


何度も猫撫で声を繰り返す内に、主人は僕の言葉が分かるようになりました。玄関を開け、太陽の熱い光で焼けた一坪の庭に出て、僕は石の上に腹を載せます。


視界の右には、身体が温まり動きの活発になったて尾の青いカナヘビが物陰から出たかと思えば直に隠れてしまう。僕は、それを見て見ぬ振りです。


目の前には、小石を避けて歩く毛虫が現れました。それを視界の左から現れた二匹目のカナヘビが追い掛けたものの、食えない代物と分かって元の位置まで引き返す動きの速いこと。僕は、これも見て見ぬ振りです。


視界の上方には、モンシロチョウがノンビリ舞って僕を誘ってくれますが、僕には手が届かないから、これも知らん顔して見逃してあげました。


何も出来ない相手と思われた頃、僕は視界の右に再度現れた尾の青いカナヘビを狙います。抜き足差し足忍び足、捕捉しようとした時、主人は僕を制止しました。


残念でしたが、カナヘビより美味いチュルチュルを貰える筈ですから、主人を恨むことはありません。それにしても、僕に付き合う主人は、僕より暇な人です。


梅雨の中 重い鞄で 額汗


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by tabigarasu-iso | 2018-06-11 07:11 | 小説 | Comments(0)