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白髪の旅ガラス

トカゲの尻尾切り

 良く晴れた日の昼下がりのことです。主人を連れて散歩に出た庭の片隅には、何やら蠢く物が居ました。いつもなら、門扉を開けて貰い道路に出る散歩コースを曲げて、私は蠢く物の移動する先に向かいます。


ゆっくり、隣の家との境にあるブロック塀の下方に近付き、そこから先は一気に飛んで獲物を前脚で捕獲したつもりでした。が、そこにあるのは切り落とされた尻尾だけです。


それも俊敏に動くものですから、まさか本体が逃げているとは気が付かず、見上げた主人に教えられて知った時には、本体は1メートル先を逃げていました。


ところが、尻尾を失くしたトカゲの足は遅く、再び宙を舞った私は前脚で簡単に押さえ込み、口に咥えてじっくり味わうでしたが。

「逃がしてあげなさい」


 そう主人に言われ、それほど腹が減っていない私は、トカゲの本体を口から解放してあげたものの、枯葉の下に潜り込んだトカゲが気になり、動き出すまで草の上で気長に待つことにします。


痺れを切らしたのは、私の首に掛けた紐を握る主人の方でした。

「もう諦めなさい」

 そう言われても諦めるつもりのない私を、主人は無理に引いて家に入れたのです。


 カナヘビの 落した尻尾 無我夢中

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by tabigarasu-iso | 2018-04-28 16:20 | 随筆 | Comments(0)