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白髪の旅ガラス

抑えきれない涙

 太平洋戦争で多くの命が失われてから六十年余りが過ぎ、戦争に参加した兵士も参加しなかった者も含み、その悲惨な事実を知る人々から、直接話を聞く機会が殆どなくなりつつある今日です。

 珍しく地元の映画館に立ち寄り、往路の燃料だけを積み、復路の当てがない戦いに臨んだ、戦艦大和を描いた映画を観ながら、戦争を知らない元子供達のすすり泣く輪に、知らず知らずに入り込んでいきました。

 親、妻、子供、そして恋人と別れ、南の海で展開された、大和の孤軍奮闘の戦闘シーンもさることながら、奇跡的に生き残った若い兵士が、戦死した同僚の故郷で、その母親に戦死を告げた時、何故一人生き残ったかと言われ、ただすいませんと地に頭を着けて謝り、我に帰った母親が死ななくて良かったと、同じ様に地に頭を着けて泣き伏すシーンに、それまで遠慮勝ちに流れ出していた涙が、一度に流れ落ちるのが判ります。

 同じ日の夜のテレビ、日本人の残留孤児を命懸けで育てた中国人の養母が、日本に帰国した娘に一緒に生活して欲しいと哀願するものの、日本での生活が苦しく思うようにならないと応える娘に、戦争が残した傷跡が癒えない現実のシーンを観ました。

 どちらも戦争が原因の涙です。けれども、前者は歴史を参考に映画監督と俳優が作り出した泣かせる物語であり、後者は戦争の傷跡が今尚続く現実であることを訴えるものでした。

風吹けど 芽膨らませよ 梅の枝 
by tabigarasu-iso | 2006-02-05 23:54 | 随筆 | Comments(0)