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白髪の旅ガラス

雨に打たれても

 風に吹かれようが、雨に打たれようが、咲いた桜は後には引けない。潔く散って土に帰るか、水面に浮かんで川下り、運が良ければ大海に流れ着く。


 咲いた花なら散るのは当たり前だが、雨に打たれて散る花を見るにつけ、花でもないのに若くして大海に散った兵士の話を想い出す。


 無念であったろう、生き延びたかったことであろう、帰りたかったことであろう、親に会いたかったことであろう、恋人を抱きしめたかったことであろう。


 そんな若い兵士を送り出した父は、今頃、あの世で彼らと花見酒を楽しんでいるかも知れない。

『雨に打たれる桜も良いものですね』

『君達が散っていなければ、もっと良かった』


 春雨に 濡れて輝く 桜かな

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by tabigarasu-iso | 2017-04-11 17:30 | 随筆 | Comments(0)