2017年 04月 11日
雨に打たれても
風に吹かれようが、雨に打たれようが、咲いた桜は後には引けない。潔く散って土に帰るか、水面に浮かんで川下り、運が良ければ大海に流れ着く。
咲いた花なら散るのは当たり前だが、雨に打たれて散る花を見るにつけ、花でもないのに若くして大海に散った兵士の話を想い出す。
無念であったろう、生き延びたかったことであろう、帰りたかったことであろう、親に会いたかったことであろう、恋人を抱きしめたかったことであろう。
そんな若い兵士を送り出した父は、今頃、あの世で彼らと花見酒を楽しんでいるかも知れない。
『雨に打たれる桜も良いものですね』
『君達が散っていなければ、もっと良かった』
春雨に 濡れて輝く 桜かな