2016年 08月 17日
蝉の危機
アブラ蝉が占有する枇杷の木肌に、淡い緑線の微かに動くのが見える。不思議に思って目を凝らして見れば、体長十センチメートルもある大きなカマキリであった。
一体、カマキリが木に登り何をするのか。そこに木があるから、そう答えるのは人だけであり、命の短い昆虫に無駄な行為はない。きっと何か獲物を追っているのであろう。
更に焦点を絞り、カマキリの前後を良く見れば、アブラ蝉が木肌の色に隠れてじつとしている。それも、少しずつ上方に移動し、それに合わせて、カマキリも少しずつ上方に移動するから、両者の間隔は変わらない。
互いに見えているのだろうか。カマキリの鋭利な鎌が届くまで、もう少し間を詰めなければならない。その瞬間を写真に収めようと待ったが、頭の頂きから流れ落ちる汗で眼鏡が曇り、辛抱強くないカメラマンは撮影を諦めた。
嵐去り 蝉とカマキリ 間を詰めて