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白髪の旅ガラス

第四の波は見えますか

 海岸に押し寄せて砕ける波は、終わることを知りません。勢い良く上る時もあれば、上がった分だけ激しく落ちて、そのまま押し寄せ慌しく引き返して行きます。その様子を見て、何も思わない人は幸せな人、何故だろうと考える人は気苦労な人、人の一生に重ねる人は哲学的な人と言えましょう。

 風呂に浸かり汗を流した後で、冷えた麦酒を片手に眺める白い波は、目的を達成した人には満足感で心地良く映るものです。そうでない人には、砕け落ちる状態が己に似て見え、直ぐ目を逸らすことでしょう。また、幾つもの荒波を乗り越えてきた人には、これまでの波を振り返る機会になります。

 自分が迎えた第一の波は、安い海外木材製品の大量輸入であり、林業からの撤退を余儀なくされたものでした。第一次産業から第三次産業の情報提供サービスに身を転じ、十数年後に迎えた第二の波は、土地の異常な高騰を招いた経済バブルの崩壊ですから、多くの人に覚えある波の筈です。

 更に押し寄せた第三の波は、世界的な金融バブル崩壊と言う大きな波で、拠り所にしていた輸出型産業の不振により、第二次産業と第三次産業の支援を行うサービスであっても大きく舵を切り替えなければ、大きな波に飲み込まれてしまう。

 こうして、目の前の波を乗り越えるだけでは、次の波に飲み込まれることになります。では、想定できる第四の波とは、どんなものでしょう。国内の農林業軽視と輸出型産業重視、経済と環境問題のグローバル化が生み出す第四の波は、気候温暖化を原因とする水・食糧争奪や地下資源争奪など、これまでの波とは次元の異なるものに違いありません。

  散り落ちて なお香を飛ばす 梅の花
by tabigarasu-iso | 2015-12-29 10:13 | 随筆 | Comments(0)