人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ブログトップ

白髪の旅ガラス

夏を食べる

 猛暑には、流石の藪蚊も負けるだろう。そう思い庭に出て草むしりを始めたところ、吹き出した汗に気が付いた藪蚊、肌の向き出た個所に貼り付こうと近寄って来る。

 それを承知の上で、虫除けスプレーで防御していたから、藪蚊は羽音を高めるだけで刺すこともできない。この調子なら、草むしりは間もなく終わる。

 両手で草の根を掴み、根が切れないようにそっと引き抜く。抜いた草は、まとめて積み上げ、天日に干して乾燥させる。そのまま腐葉土にするか、燃えるゴミにするか、後で決めれば良い。

 いよいよ草むしりの仕上げ、茗荷の親の根元に手を伸ばすと、可愛らしい子供が幾つも頭を出している。迷うことなく、夕食は素麺に決めた。
「用意できたわ」
「分かった。茗荷の新芽を抜いて来る」
 獲りたての薬味、夏を食べたような気がする。

 その茗荷 俺に寄こせと 汁が言い
by tabigarasu-iso | 2015-08-02 09:30 | 随筆 | Comments(0)