2015年 08月 02日
夏を食べる
それを承知の上で、虫除けスプレーで防御していたから、藪蚊は羽音を高めるだけで刺すこともできない。この調子なら、草むしりは間もなく終わる。
両手で草の根を掴み、根が切れないようにそっと引き抜く。抜いた草は、まとめて積み上げ、天日に干して乾燥させる。そのまま腐葉土にするか、燃えるゴミにするか、後で決めれば良い。
いよいよ草むしりの仕上げ、茗荷の親の根元に手を伸ばすと、可愛らしい子供が幾つも頭を出している。迷うことなく、夕食は素麺に決めた。
「用意できたわ」
「分かった。茗荷の新芽を抜いて来る」
獲りたての薬味、夏を食べたような気がする。
その茗荷 俺に寄こせと 汁が言い