2015年 07月 16日
風の見える街
判断の早いことは悪くはないが、ホテル名を運転手に告げると反対側だと言う。それでも構わないから、余り差がないことを願いながら行ってくれと頼む。
「暑いですね」
「そうですね。商売にはならないですよ」
「はあ」
「昨年の猛暑日ですがね。エアコンを使えない、窓も開けられないお客さんを載せたことがありまして。いや、その時は参りました。全身汗だらけで運転しましたよ」
「私は、そんな無理は言いません」
「そうですよね」
そうこうしている間に、タクシーは陸橋を渡り、少し走ったところで右折したところでホテルに着いた。東口を降り、タクシーに乗ったのと大差のないようである。ホテルに入る時、全身を包む涼しい風が霧になって見えたような。
風見える 疑う人は 久喜に来て