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白髪の旅ガラス

風邪

 風邪で寝込んだのは、四十年前のことです。以来、風邪らしき兆候があれば、置き薬を飲み、今日まで生き長らえて来ました。
「そう言えば、風邪を引いたことは、一度も聞いたことがありませんね」
「何とかは、風邪を引かないと言いますね」
「あら、そう言う意味ではありませんから」
「いえ、諺の通りですよ」

 振り返ってみれば、何とかと言うよりも、正確には風邪を引きそうな気配に敏感な人間のようです。早目に置き薬を飲み、早目に眠り、ゆっくり朝寝坊することに徹底して来ました。

 それでも、風邪を引いた人が傍に居れば、置き薬は飲めても早く寝ることや朝寝坊は難しい。待っていましたとばかり、体力の弱ったところへ風邪の菌が舞い込み、幾らか身体がだるくなります。

 体温を計ってみれば、平熱より幾らか高い程度ですから、やや風邪気味と言えるでしょう。
「なんとなく風邪に罹ったような気分になるな」
「そうよ。あなたも人間だから」
「体温を計らなければそう思はない」
「そうよ。病は気からと言うじゃない」
「もっともだ」

 寝不足を 補うような モノレール
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by tabigarasu-iso | 2015-03-06 15:00 | 小説 | Comments(0)