2014年 08月 06日
機械の弱点
「この自転車、随分と疲れたわね」
「疲れたと言うより、錆びが出たのだよ」
人も、適度に油を挿さなくては足腰が錆びたように動かない。
機械は壊れる。
「あなた、ロボットのスイッチを切っても動きが止まらないわ」
「どれ、コントロールボックスを渡して」
幾らスイッチを切っても、ロボットは無視して動く。
「スイッチの半導体が壊れたな」
そう言い終わらない間に、男はロボットから電池を取り除く。忽ち、ロボットは動かなくなった。
機械は摩耗する。
「幾らアクセルを踏んでも加速しないの」
「エンジンがくたびれてしまったようだな」
「あら、機械もくたびれることがあるの」
「そうだな、くたびれると言うより摩耗かな」
機械を労わる。
「少し休ませようか」
「何を」
「車に決まっているじゃないか」
「あら、あなたじゃないの」
「・・・」