2014年 02月 21日
ムール貝のワイン蒸し
何故、ムール貝を選んだのか。秋刀魚がメニューになかったからで、それにムール貝は値段が安く温かくて量もあると聞いたからだ。担当の店員に他に何かと訊かれたが、充分な量を信じますからと答える。
注文した品は直ぐテーブルに運ばれ、温かいムール貝をフォークで掘り出し口に入れ、その熱を冷ますように麦酒を飲み、一息突いたところで深い皿の底にあるスープを飲む。
「ムール貝は目黒に限る」
「はあ、ありがとうございます」
意味不明ながら、愛想で答える店員に旅ガラスは追い討ちを掛ける。
「カラス貝も目黒に限る」
店員は、相手の機嫌を損ねないよう曖昧に頷いた。