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白髪の旅ガラス

繭玉団子

 その日は朝から団子を茹でた甘い匂いが家中に漂い、それ以外のものは何一つ期待することは出来ません。それでも、子供ですから自分の思いを母に告げます。

「かあちゃん、誕生日にはプレゼントを貰えるらしいぞ」
「そうかや」
「嘘じゃねぇ。ケーキを買って、その上に歳の数だけロウソクを立て、火を点けて消すらしい」
「そうかや」
「俺、今日が誕生日だぞ」
「そうさ、忘れちゃいねぇ」
「それなら、ケーキは」
「団子で我慢してくれ」

 繭玉団子を作る日に生まれた子供のプレゼントは、毎年決まって団子でした。ミズキの枝先に団子を幾つも刺して、その重さで弓なりになった枝は部屋の真中に置かれ、失望しながらも美しく感じたものです。

 当時、ケーキを願っても手に入らない田舎でしたから、手作りの団子は母の思いが沁み込んだ最高のプレゼントに違いなかったことでしょう。そうと知って感謝したくても、あの世で笑う母に今は手を合わせるだけです。

 繭玉の 団子で祝う 誕生日
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by tabigarasu-iso | 2014-01-13 01:13 | 随筆 | Comments(0)