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白髪の旅ガラス

重箱の隅を探らない審査

 重箱の隅を探るのも立派な仕事ですが、そればかりでは中央に何があって、何が旨そうで何が喰えないか、全体を見ることは出来ません。

「電話を受けた時、これまでの審査員とは違うと思いました」
「あれまあ、どんな点が異常でしたか」
「異常ではありません。滑らかな話し振り、これまでの審査員とは違いましたから」
「はあ、自分は昼食に社員食堂を利用させて貰いたくて、挨拶を兼ねて電話しただけであります」

 そこにもう一人が加わり、審査初日の終了確認は賑やかになりました。
「私も何度か審査に立ち会ってきましたが、重箱の隅を探る審査員の方ばかりでした」
「それはお気の毒なことです」
「それです。型に嵌った方ばかりで、貴方のような返事をされる方は見た事がない」
「それはそれで、お気の毒なことです」
「何しろ、本筋を突いた質問ばかりで役に立ちました」
「それは有り難いお言葉ですが、未だ審査は終わっていませんぞ」

 そうでしたと頭を掻く相手の顔は笑っています。どうやら、審査の初日は満足して頂けたようで。帰り際には自分の乗ったタクシーが見えなくなるまで、審査を終えたかのように関係者全員に見送って頂きました。

 審査員 色々あると 北風に
重箱の隅を探らない審査_d0052263_724142.jpg

by tabigarasu-iso | 2013-11-13 00:00 | ISOマネジメント | Comments(0)