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白髪の旅ガラス

電車を待って

 次の新幹線が到着するまで三十分もあるから、駅構内の売店で冷えた麦酒と柿の種を買い、誰も居ないホームのベンチでお疲れ様と今日の自分を労って晩酌を始めた。

 目の前では、停まる予定のない新幹線が猛烈なスピードで右から左へ走り去り、突風と轟き音を投げ付ける。それを呆れて見送れば、今度は逆方向からそれが舞い込むからノンビリしていられない。

 話する相手の居ない寂しい晩酌を慰めてくれるのだろうか。それとも、晩酌する様を認めて羨ましく、邪魔をするのであろうか。その答えは何れか、走り去る新幹線に聞いてみなければ真意は判らない。

 愚にも付かない想像をしていると、見知った顔が現れる。咄嗟のことで名前は思い出せないから取り敢えず頭を下げれば、手にした缶麦酒へと目を遣り羨ましそうに微笑んでくれた。

                  仕事終え ひとり楽しむ 酒も良い
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by tabigarasu-iso | 2013-07-08 00:00 | 随筆 | Comments(0)