2012年 12月 01日
雑木に励まされ
山国育ちの人間は、林や田畑を見ると心が和むものである。道脇の雑木林を見ながら、どんな種類であろうか、伸び伸びと育っているだろうか、首を傾けたまま歩む。
下草も奇麗に刈り取られ、ゴミも捨てられていない雑木林は、見る人の気持を明るくしてくれる。どの木を見ても、枯れている枝もなく、木肌に瘤もないから、揃って健康であろう。
林を抜けると大きな病院の建物が現れた。そこで、上腕に出来た異物が何か、専門家の診断を受ける身には、瘤一つない木肌が羨ましい。
診断の結果、瘤の正体は自分の脂が溜まったもので、気にしなくても良さそうである。ついでに、あれこれと検査した結果、中性脂肪が基準値を上回っており、薬を飲む意外な展開になった。
帰路、雑木林に目を遣れば、風もないのに方々で枝が揺れている。
『悪性の瘤でなくて良かったね』
そんな声が聞こえたような。
肌を刺し 師走教える 寒気かな