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白髪の旅ガラス

雑木に励まされ

 上野駅から常磐線の松戸駅まで快速電車で20分、車窓から高い建物が消えて行く時間である。その松戸駅から新京成線の常盤平駅まで9分、駅の周辺には雑木林が目立つ。

 山国育ちの人間は、林や田畑を見ると心が和むものである。道脇の雑木林を見ながら、どんな種類であろうか、伸び伸びと育っているだろうか、首を傾けたまま歩む。

 下草も奇麗に刈り取られ、ゴミも捨てられていない雑木林は、見る人の気持を明るくしてくれる。どの木を見ても、枯れている枝もなく、木肌に瘤もないから、揃って健康であろう。

 林を抜けると大きな病院の建物が現れた。そこで、上腕に出来た異物が何か、専門家の診断を受ける身には、瘤一つない木肌が羨ましい。

 診断の結果、瘤の正体は自分の脂が溜まったもので、気にしなくても良さそうである。ついでに、あれこれと検査した結果、中性脂肪が基準値を上回っており、薬を飲む意外な展開になった。

 帰路、雑木林に目を遣れば、風もないのに方々で枝が揺れている。
『悪性の瘤でなくて良かったね』
 そんな声が聞こえたような。

 肌を刺し 師走教える 寒気かな
Commented by tabigarasu-iso at 2012-12-02 10:50
ありがとうござます。
コブはそのまま、コブあり爺さんで参りましょう。
by tabigarasu-iso | 2012-12-01 16:51 | 随筆 | Comments(1)