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白髪の旅ガラス

心静かに

 時代劇を観て寛ぐ習慣が付いていたのは、いつ頃からであろうか。正義の剣士が悪者を必ず倒して安心したのは、少年の頃と承知している。だが、時代劇に寛ぎを覚えたのは最近のことかも知れない。

 青年の頃は、時代劇を楽しむ心も経済的な余裕もなかった。生活の波に飲まれ、懸命に泳いでいたようである。ただ、生きるだけの現実から一瞬でも這い上がろうと、歴史小説の世界に興味を持ち始めた時期でもあった。

 壮年の頃は、時代劇と言う過去形で誰に遠慮する必要もなく、当時の課題や謎を表現する作者の意図を汲んで、賄賂、裏切りで出世した輩が物語の結末に地を這う姿には、溜飲を下げたものである。

 還暦過ぎて、善人が悪人を懲らしめるのも、正直者が腹黒い上司に騙されるのも、貧しさの中でも人の道を外さない不器用な生き方も、浪人暮らしで気儘に暮らすのも、何れの時代劇も心静かに観ることが出来るようになった。

 立ち止まり 垣根の向こう 牡丹とる
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by tabigarasu-iso | 2012-05-08 06:12 | 随筆 | Comments(0)