2012年 02月 08日
沢庵
それには、想い出も加わるから尚更のことであった。大昔の冬場、大家族の胃袋を満たすのは、麦、米、小麦粉、味噌、漬物、芋、南瓜など、田畑で作った自家製のものばかりである。
飯のオカズは、沢庵か白菜の漬物と決まっていた。商人から現金で買う目刺など高級品であり、その尻尾まで猫と争ったものである。それ故、漬物が嫌いな人は、オカズがなかった。
幸い、自分は魚や肉より漬物が好物であり、大きな樽で漬けた旬の沢庵は、やがて酸っぱくなり、湯で塩を抜き油で炒めても好物に変わりない。だが、お袋の太い腕で漬けた沢庵、もはや食べることは出来なくなった。
樽に張る 氷を割って 出す沢庵