2012年 01月 21日
柴とサボテン
「枯れそうだよ」
サボテンが呟きます。
「本当に」
疑いながら柴が言いました。
「枯れてしまったよ」
「本当かい」
「見た目だけさ」
「本当だね」
「根は元気さ」
「それは何より」
「それにしてもお湿りが欲しい」
「まったくだ」
一ヶ月振りのお湿りは、雪、みぞれ、それに冷たい雨と盛り沢山です。
「良いお湿りで」
サボテンが明るく言いました。
「全くだ」
柴も同意します。
「それにしても寒い」
「おや、人並みだね」
「どうも寄る年波には敵わない」
「幾つになるね」
「三十かな」
「まだ若い」
「あんた方には敵わない」
「そりゃそうだ」
雨受けて 安堵の喋り 聞こえたり