2012年 01月 07日
髪の冬仕様
ところが、今回の科白はいつもと違う。
「冬仕様にしますか」
鏡を見ながら、黙って頷いた。
余分なことは一切言わないが、肝心なことはタイミング良く言う。枕言葉ばかりで肝心な点に触れるまで時間が掛かり過ぎ、それが相手に伝わらないコンサルと知っての対応であろうか。
二十年余り、自分の事を話す必要もなかった。客がコンサル稼業と知っている筈はない。仮に知っていても、サービスのスタイルを変更するようなことはないであろう。それだけに、床屋の新しい科白は胸に沁みた。
血流の 固まるような 風が吹く