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白髪の旅ガラス

昼に吠える虎

 夜、酒の力を借りて虎になる人は大勢居る。それまでは借りて来た猫のように大人しい人が、昼間の不満を相手が誰であろうと構わず投げ付けるから困ったものだ。

 中には、酔いが醒めたら責任を取れない暴言もある。相手も虎になり互いに言いたいことを言い合えば良いが、虎に豹変するのは昼の猫だけ。翌日、酔いが醒めれば猫に戻るから、首を洗って暴言を吐いた相手の顔色を伺うしかない。

 昼、大人しい猫が電車に乗った時のことである。明らかに酔った乗客が、大声で何やら叫ぶ。近寄れば難癖を付ける虎に決まっているから、その人の周囲は席が空いたままである。

 やがて、その虎も大人しくなった。誰も話し相手になってくれないから、吠え疲れて眠ったようである。眠る前に吠えた男の言葉が耳に残った。
「誰も好きで酔ってンじゃない」
 虎ならば、こんな言い訳をしない方が潔い。

昼の虎 猫に囲まれ 牙冴えぬ
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by tabigarasu-iso | 2011-09-29 07:35 | 随筆 | Comments(0)