2011年 09月 29日
昼に吠える虎
中には、酔いが醒めたら責任を取れない暴言もある。相手も虎になり互いに言いたいことを言い合えば良いが、虎に豹変するのは昼の猫だけ。翌日、酔いが醒めれば猫に戻るから、首を洗って暴言を吐いた相手の顔色を伺うしかない。
昼、大人しい猫が電車に乗った時のことである。明らかに酔った乗客が、大声で何やら叫ぶ。近寄れば難癖を付ける虎に決まっているから、その人の周囲は席が空いたままである。
やがて、その虎も大人しくなった。誰も話し相手になってくれないから、吠え疲れて眠ったようである。眠る前に吠えた男の言葉が耳に残った。
「誰も好きで酔ってンじゃない」
虎ならば、こんな言い訳をしない方が潔い。
昼の虎 猫に囲まれ 牙冴えぬ